みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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一人の高僧が切り拓いた 裕慶坂と十三品塚の伝説(横浜市保土ヶ谷区)

かつて、鎌倉が日本の中心であった頃のお話です。

鎌倉幕府に何かあったとき、日本全国から武将たちが鎌倉へとはせ参じることができるように何本もの道が整備されました。

 

その多くは、今なお「かまくらみち」と呼ばれて人々の生活の中にあります。

広く開かれて立派な街道となった道、細い路地裏のような道、さまざまです。

 

そのうち、現在の保土ヶ谷区今井町を北から南へと縦断する道がありました。

その道には、いまなお「鎌倉橋」という小さな橋がかけられています。

 

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この橋を渡りきると、傍らには古くからある今井天満宮さまの社が竹林の中にたたずんで、かつての風情を今に伝えています。

 

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この社じたいはとても小さなもので、普段は訪れる人もあまりないのでしょう。

覆い被さるような竹林に抱かれて、ひっそりとこの地に佇んでいます。

 

地元の方々からはよく信仰されているようで、境内はとても奇麗に保たれ、どこかしら凛とした神聖な空気が流れているのが感じ取れるところです。

 

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この社のわきには、かつて細い坂道が通っていました。

その坂道は、今となっては完全に環状2号線の開発によって姿を消していますが、ちょうど環状2号線が走るあたりに13基の塚が残されていたそうです。

よって、このあたりは十三品塚と呼ばれていました。

 

もともと、この辺りは木々がうっそうと茂って昼なお暗く、がけは急なうえに滑りやすいとあって、道を行く人はみな難儀をしながら歩いたところだったそうです。

 

いかに整備されていたとはいえ、今とは違ってアスファルトによる舗装などもありません。

坂を登り降りするときは、木々につかまってようやく越えることができたという峠道での人々の難渋たるや、今では想像もできないほど困難を極めたことでしょう。

 

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そんな人々の苦しみを感じ取った、裕慶上人という僧がいました。

どこからか訪ねてきた裕慶上人は坂を見上げるとしばらく考えていましたが、やがて「ここぞ修行の地である」と一念発起するや、一人ひたすら汗を流して道を切り開き、坂を作り上げたということです。

 

この僧の徳と尽力にいたく感動した村人たちは、この坂を裕慶坂と名付けて、末永くその徳を語り継いだということです。

 

それからしばらく経ったある日のこと、現在の戸塚区品濃に住んでいたひとりの百姓がいました。

百姓は今井の畑を耕そうと、樹木の生い茂ったこの坂を通るたびに、不気味な化け物が出るという事でほとほと困っておりました。

 

そこで、裕慶上人(別の僧であるとも)が坂のわきにある十三品塚に塔婆を建てて経をあげ、懇ろに供養したところ、その日から化け物が一切出なくなったという言い伝えも残されています。

 

この坂は長らく裕慶坂と呼ばれ、のちには幽霊坂、夕景坂、ゆうげ坂とも呼ばれるようになりました。

しかし、時の流れとはなんとも無情なもので、このあたりも宅地として開発されていき、やがて広い環状2号線が開通するや裕慶坂も十三品塚もたちまち姿を消してしまったということです。

 

さて、この裕慶上人とは、どこからやってきた高僧であったのでしょう。

この近くにあったという地蔵堂の堂守であったのか、和尚谷戸と呼ばれたところにあったと言われている寺の住職であったのか、いろいろな話があるそうですが、それ以上の詳しいことは何も分かっていないという事です。

 

いま、この裕慶坂があったというところを見上げてみると、高く囲まれた塀の中でひっきりなし自動車やトラックたちが走り抜ける立派な幹線道路となっています。

 

ここの坂が難所であった時代からみれば、ものすごい発展でありますが、当時この地で生きてきた人たちは、この時代の移り変わりをどのようなお気持ちで眺めている事でしょう。

いつか、自分も鬼籍に入るわけですが、叶うことであればそのような時代に生きた人たちの元へ取材にいってみたいものです。

 

 

 

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