みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

愛車はヤマハのシグナスX。 原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。
風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。
※記事は基本的に毎日18時に更新です。

善光寺谷の奥に埋められた 阿久和善光寺の阿弥陀さま(横浜市瀬谷区)

横浜市瀬谷区の阿久和町、「湘南泉病院入口」 の交差点から西へ続く上り坂があり、その坂の左右は現在は阿久和大久保原公園となっています。

 

このあたりは、昔は善光寺谷と呼ばれていて、古くは深い谷間の奥にお寺があったところとされています。

  

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この善光寺谷という名前の由来について、このような言い伝えが残されていました。

鎌倉時代のこと、鎌倉幕府と諏訪大社や信州善光寺の関係は密接であったと吾妻鏡に伝えられています。

 

現在の長野県にあたる信濃の国にも、ある高徳なお坊さんがおられ、毎日のように村々を巡っては里人たちに仏の教えを説いて巡っていました。

 

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その道すがらで諏訪大社にも参拝し、さらに村々を巡りながら険しい山坂を越え、山梨県である甲斐の国にさしかかったところ、背後に2匹の蛇が並んでついてくるのに気が付いたのです。

 

お坊さんは、「お前さんたちはどこへ行くのかね」と問うたところ、この蛇は口をそろえて「自分たちは諏訪明神さまにお仕えしていた蛇です。お上人さまのお話を聞き、どうかお弟子にして頂きたいと願ってきました。どうかお弟子に加えてください」と熱心に頼んできたのです。

 

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お坊さんはしばらく考えたあと、「旅の道中はとても辛いものだ。それでも良いのであれば、ついてきなさい」とおっしゃったのです。

 

こうして、お坊さんと二匹の蛇の長い旅がはじまりました。

そのすえに相模の国、阿久和の里までたどりつきましたが、長くつらい旅の疲れがたたり、2匹の蛇のうち1匹が死んでしまったのです。

 

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やがて、藤沢の町はずれで荒れ果てていたお寺が再興され、このお坊さんを崇敬する人たちによって道場として築かれました。現在の清浄光寺、いわゆる遊行寺と呼ばれる時宗の総本山です。

 

この時宗の祖ともなったお坊さんは、やがて一遍上人とも遊行上人とも呼ばれて多くの人々にしたわれ、相模の国ではとても高名なお坊さんとなりました。

 

しかし、このお坊さんはいつまでもこの蛇を忘れることは無く、この蛇を供養しようと阿久和の高台の上にお堂を建てて、一寸八分(5センチあまり)の阿弥陀さまを御本尊さまとしてまつり、信州の善光寺にあやかって善光寺と名づけたのです。

 

村人たちも、わが村にお寺ができたことをたいそう喜んでお金を出し合い、いろいろな仏具を買い求めてはお寺をよく守り、お坊さんと一緒に阿弥陀さまに手を合わせました。

 

それから時代も流れて戦国の世となり、時代はすっかり乱れ、阿久和の里人たちも「いつ戦になるか」と戦々恐々とするなかで、藤沢の遊行寺や阿久和の善光寺から集まった和尚さんらといっしょになって、村の谷の奥に穴を掘って、御本尊や一遍上人ゆかりの宝物を穴の奥深くに隠し、その入口をふさいで隠したのです。

 

その後、やはり村は戦乱にあってありとあらゆる建物が焼け落ち、里人たちは命からがら藤沢の遊行寺へ逃れ、仏さまのご加護で助かることができました。

 

結局、里に善光寺が再建されることはありませんでしたが、今なお谷の奥深くには仏さま が埋められており、その上を歩くと「早くここから出してほしい」とでも言っているかのような、木魚のような不思議な音が聞こえてくるという事です。

 

「鎌倉郡中川村郷土誌」には「道下ニ古穴ラシキモノアリ 強ク之(これ)ヲ踏ム時 地下ヨリ異様ナ音響アリ」と記載されています。

  

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いま、この善光寺があったとされている谷間はすっかり開発されて、子供連れがのんびりと遊ぶのどかな公園に代わっています。

 

もはや、仏さまが埋められた穴もどこだか分らなくなりましたが、地中深く埋められた阿弥陀さまは、今もどこかで里人たちの暮らしを見守り続けていることでしょう。

 

 

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