上大岡駅前から鎌倉街道を南下していくと、横浜横須賀道路の日野インターチェンジの出入り口の脇にあるのが、日野あたりの総鎮守として崇敬を集める春日神社である。
この春日神社は通称「春日さま」とも呼ばれて親しまれ、御祭神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)であり、その創建は古く康和元年(1099年)にさかのぼる。
この春日神社の起源については、前回の記事でも紹介したとおりであるが、この不思議な言い伝えが残る春日神社には、もう一つ不思議な見どころがあり、それが「夫婦木」と呼ばれている御神木なのである。
この御神木はシラカシの大木とウラジロカシの大木の2本で、立っている位置は3メートルも離れているものの、この2本の大木が1本の横渡りの幹でつながれているのが見て取れる、実に珍しい大木である。
通常、離れた2本の木がこのように合体してつながるというのは非常に珍しい事で、この現象を春日神社では深い絆で結ばれているものととらえて、良縁祈願の御利益がある御神木であるとしているのである。
日本の神道では、森羅万象に存在する、すべてのものに八百万の神々がいると信じられてきた。
この御神木も、もとは木であったものが御神木となり、これじたいが信仰の対象となった実に日本的な例であり、またこの時も数人の男女がこの縁結びの木を拝む姿が見られ、一定の信仰を得ているようである。
この、日野の里に鎮座される春日神社は昔も今も日野近辺の氏神様として崇敬されてきたが、このように多くの若者から今なお信仰され、御神託を受けているという事が頼もしく、これからも絶えることなく民衆の信仰と信頼を集め、発展していってほしいと願うばかりである。