今日の映画鑑賞です。
今回は1993年(平成5年)公開、山田洋次監督作品の「学校」。
のっけから言いますが、これは本当に名作だと思います。
日本映画を代表する名監督、山田洋次監督の作品の中でも、特に全世界の人に観てほしいと思える映画です。
恐らく10代から60代くらいまでの幅広い年代と国籍・民族の生徒が集まる、とある夜間中学校。
そこは、「ふつうの人々」からは想像もできないような人生を生きてきた人々の、想像もできないような苦労の人生が凝縮されたところです。
朝鮮半島から日本にわたってきて、ほとんど日本語が分からないままに焼肉店を繁盛させ、3人の子供を育て上げた苦労人のオモニ。
中国人と日本人の子として中国に生まれ、日本で渡ってきてからも日本での生活になかなか馴染めないチャン。
シンナーや不登校の中でもがき、夜間中学に居場所を見出した娘さんたち、脳性麻痺で言語障害のある男、清掃業の激務のあとに眠気を抑えて夜間中学に通う若者。
そこには実にいろいろな境遇の人たちが出てきます。
特に、中年になっても文字が読めない競馬大好きなおじさん、田中邦衛が演じる「イノさん」が印象的です。
田中邦衛はみうけんのご近所さんでもあることもあり、朴訥とした演技に味があって、個人的に好きな俳優の一人です。
幼少の頃から一人、また一人と家族を失う不幸に見舞われ、文字も読めないまま色々な仕事を渡り歩いて苦労ばかりしてきたイノさん。
彼が愛するものは、酒と競馬。
その競馬好きが高じて、カタカナは書けないといいつつも「オグリキャップ」というカタカナならスラスラと書いてしまうほど。
免許がないからとただひたすらに、まさに文字通り汗水たらして荷物を満載したリヤカー自転車を引いて日銭を稼いでいく毎日。
そんなイノさんの夢は、読み書きができるようになって車の免許を取ることでした。
しかし、長年の無理がたたって大病を患い、故郷へと帰る車中で見た、生涯で最後の東京の風景を眺めるシーン。
このシーンが印象的で、強く記憶に残っています。
この中で先生を演じる西田敏行は、さえないメタボな中年チョンガ―男ですが、教育に対する熱意は人一倍で。
良いか悪いかは別問題として、「十年後、二十年後に生徒が母校を訪ねてきたとき、知っている先生が誰もいないのは寂しすぎる」といって人事異動を頑なに固辞するような人です。
この先生は、先生だからといって決しておごり高ぶったり偉そうにしたりせず、卒業式の時は生徒と抱き合って号泣してしまうような先生です。
夜の教室。
外ではしんしんと雪が降っています。
イノさんの机には花が飾られています。
そこで、果たしてイノさんは幸福だったのか。
本当の幸福って、一体なんだろうか。
みんなで話しあうシーンでクライマックスを迎えます。
幸福ってなんでしょう。
人それぞれ考えがあり、それによって人それぞれ感じる幸福も違うと思います。
しかし、どん底の人生を歩んでいた教え子が夜間高校と大学に進学することを決意し、やがて母校である夜間中学校の教師となって帰ってくることを宣言するシーンに、その答えがあると思います。
どんな人でも、希望があり、夢があること。
そして、その希望と夢をかなえるために、努力できる環境があること。
そして、どんな人生であっても、イノさんのように自分は幸せだったなぁと過去を噛み締めながら死んでいけること。
それが、本当の意味での幸福のひとつではないかな、とこの映画をみてしみじみと思いました。
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