みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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1957年(昭和32年)日本映画「幕末太陽傳」

本日の映画鑑賞です。

昭和32年(1957年)と少々古い日本映画、石原裕次郎フランキー堺が共演したコメディ映画の「幕末太陽傳」です。

 

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映画『幕末太陽傳』予告編

 

まず、この映画の舞台は品川です。

品川というのは、当時の東海道で下りでは最初の、そして上りでは最後の宿場町でした。

そのために大規模な遊郭が形成され、その名残は昭和の売春防止法成立の時まで続きます。

 

映画の冒頭では売春防止法成立前の品川カフェー街がそのままの姿で映し出され、それを背景にこのようなナレーションで映画が始まるのです。

 

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東海道線の下り列車が品川駅を出るとすぐ、八ツ山の陸橋の下を通過する。

この陸橋の上を通っているのが、京浜工業地帯を縦走する最大の自動車道路、京浜国道である。

 

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京浜国道にやや平行するようにして横たわる狭苦しい街、これが東海道五十三次 第一番目の親宿、品川宿の現在の姿。

このいたって特色のない街で、やや目立つものといえば、北品川カフェー街と呼ばれる16軒の特飲店。従業の接客91名。平均年齢34歳。

 

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しかし、この赤線地帯も売春防止法のあおりを受けて一か年以内の閉鎖を余儀なくされており、354年の伝統を持つ品川遊郭の歴史もここにいちおうその幕を下ろすことになるのだが、これからこの映画が語ろうとするのは、現代の品川、ないしは売春問題の推移などではなく、文久2年末の品川である。

 

文久2年といえば、あと6年で明治になる年であり、幕末いよいよ喧騒。

北の吉原と並び称された南の品川も、ようやく衰えを見せ始める。

とはいえ、そこはやはり東海道の親宿。100軒近い遊女屋に1000人以上の女が妍を競い、それ相応の賑わいを見せていた。

 

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この映画の冒頭に、今はなき北品川カフェー街の在りし日の姿が動画で残されています。

これは赤線青線ファン、カフェー好きな方には是非とも見ていただきたい!!

 

さて、映画に戻って時代は幕末。

江戸全体が倒幕だ攘夷だと揺れる文久2年(1862年)、つまりこの映画が公開される100年足らず前の事になります。

 

東海道品川宿に実在した遊女屋「相模屋」に佐平次(フランキー堺)率いる一行が現れ、無一文のくせにさんざ飲んで食って遊んで大騒ぎ。

 

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そのくせ無一文の無銭飲食ヤロウときて、相模屋の楼主であった伝兵衛はすっかり怒り心頭。借金のカタに佐平次を働かせることにし、部屋も一番汚い行燈置き場をあてがいます。

当時は無銭飲食は公権力は介入せず、店側が自分でケリをつけていたのでしょう。

 

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しかし、この佐平次は驚異的な頭の回転と要領の良さで大活躍。

なんとこの相模屋には攘夷の志士高杉晋作たちが居座っていますが、一向に金を払わないので借金がたまるばかり。そんな高杉らから代金の代わりとして西洋の珍しい時計をとってくるわ、客同士の親子喧嘩もアッと言う間に収めるわでどんどん存在感を増していきます。

この高杉晋作役を務めるのが石原裕次郎。やっぱカッコいい!!

 

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まあ、ここから先の話の展開はネタバレになるので、本編を見ていただくとして。

この映画の秀逸なところは、今のチャラチャラした時代劇に比べて時代考証がしっかりとしているところだと思うのですよ。

見てください、この見事な剃り眉とお歯黒!!

これぞ江戸の女だぜぃ!!

 

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今の時代では表現できないようなものもあります。

大きなお祭りの前にみすぼらしい物乞いがいるのは序の口。

いまではそういう描写もできないんでしょう。

 

しかし、さらにビックリしたのが、この描写。

これから磔(はりつけ)になる罪人を市中引き回しで晒し者にするシーン。

 

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立派な侍、そして馬に乗せられた罪人に挟まれるようにして、槍を持った白装束の人が歩いています。

しかし彼らは侍よりも罪人よりも、薄汚れて見えるように演出されています。

そして、死人を送り出す白装束姿。これは彼らが罪人に直接手を下す人間として描かれていると思って間違い無いでしょう、という演出です。

 

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また、相模屋に棺桶かついで怒鳴り込んできた二人組。

(どうしてそうなったのかは本編を見ていただくとして)

この二人も、なんだか薄汚れて「・・・」な感じです。

 

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これらの、人の死に関わった仕事をする人々は一体なんなのか。

これらも今の映画やテレビでは絶対に表現できない事ですが、おそらく被差別部落階級の人たちを表現したのではないでしょうか、と推察できます。

 

彼らは、当時このような「穢れが多い」仕事をしていたので、「穢多」(えた)という呼称で呼ばれていました。今では、映像で彼らを表現する事は絶対にできないと思います。

彼らも、街道沿いなどでは無くてはならない存在でした。

 

街道で行き倒れた馬や牛、そして人の亡骸を片付ける唯一の存在でしたから、それなりに独占産業でもあったわけですね。

また、武士の世界において鎧や兜、陣笠などを作るのに欠かせない皮革産業を生業ともしており、ある意味で保護された独占産業でもありました。

彼らのことは今では映像で表現もできないし、する必要もないのかも知れませんが、確かにそういう人たちが過去に住んでいたというのは間違いありません。

 

他にも火事のシーンで、半鐘と呼ばれる小さな鐘をカーンカーン、カーンカーン。と2回うちしている場面。

昭和世代の方は美空ひばりさんの「お祭りマンボ」という歌で、「♪おじさんおじさん大変だ、どっがで半鐘が鳴っている。火事は近いよスリバンだ〜」という歌を聞いたことがあるかと思いますが、これが一つのキーワードなのです。

 


お祭りマンボ(美空ひばり)

 

江戸っ子が最も恐れた「火事」の発生を知らせるのにずいぶん活躍したのが半鐘で、今でも消防団の詰所の脇の望楼(火の見櫓)で見かけます。

ただ、あの半鐘というものは適当に鳴らしていたわけではありません。

 

火事が近ければ擦り半(スリバン)といってトンカチを半鐘の中にいれ、ガガガガガガと連続して叩く。火事は近いよスリバンだ〜」とは、こう言うことです。

 

火事現場が少し近ければカーン。カーン。と一度打ち。

ちょっと遠ければカーン、カーン。と二度打ちし、間をおいてまたカーン、カーン。というように叩き分けていたんだそうです。

この映画で、その叩き方が再現されているのには感動しました。

 

このように、いろいろとこだわって作られた映画というのは実に見ていて勉強になるし、「これおかしいぜ」なんて変なモヤモヤを持たなくてすみます。

最近の水戸黄門とかは、あれはあれで良いのですがやはりお歯黒くらいは出して欲しいな。

まぁ、お歯黒とかやると女優さんの顔が台無しになるから、やらないのでしょう。

寂しいことです。

 

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この映画はコメディーとしても秀逸だし、当時の時代背景を知るのになかなか面白い。

まぁ、もちろん映画ですから時代背景を100%間違いなく再現しているかといったらそうではないですが、昔の「相模屋」などは実に再現度が高いそうです。

 

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この映画は決して新しい映画ではないし、最近のアイドルなんかは絶対に出てきようもありません。

しかし、このフランキー堺の屈託のない笑顔を見ていると、そして今となっては想像でしか出会えない江戸の遊女屋の風景を見ていると、いつしか自分も江戸時代の末期にタイムスリップしたような感覚にとらわれるのです。

 

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この映画は、歴史が好きな方やコメディが好きな方、そして昔の風俗(いろんな意味で)や暮らしぶりを知りたい方にはうってつけの名作だと思います。

 

 

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