みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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家畜の供養を願った 珍しい豚頭観音像(三浦市)

横須賀から三崎口駅を通じて、三浦三崎まで伸びる横須賀三崎線という道があります。

 

このあたりの主要な交通路で、なかなかに交通量も多く、その「油つぼ入り口」交差点のあたりを西に入っていく細い道の奥に、浄土真宗本願寺派寺院である白蓮山 観音堂 心光寺(びゃくれんさん かんのんどう しんこうじ)の門が見えてきます。

 

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本来、浄土真宗の本尊は阿弥陀如来です。

このお寺も、本来は浄土真宗ではなかったのでしょう。

 

寺伝では江戸時代の宝永年間(1704年~1710年)には、すでに一向宗(現在の浄土真宗)であった一向山長善寺の末寺となったものの、檀家も減ったので寺号を廃して長善寺の境外御堂となった、とあります。

 

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ただ、御本尊の聖観世音菩薩はかなり古くから諸磯村の守り観音として崇敬されていたそうで、その信仰は途絶えることなく今でも続き、この小さなお寺は地元の方々の手によって大切に守られています。

 

この像高1m程の聖観音立像は全身を黒漆で飾り、左手に蓮華花を持ち、右手はまっすぐに下げている典型的なもので、頭上には宝冠を頂き、胸にはたくさんの瓔珞(ようらく=飾り)を付けた豪華なものです。

このお寺は、その威容にふさわしく三浦三十三観音霊場の結願寺となっています。

 

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さて、この心光寺の山門の左右には、諸磯じゅうから集められたという庚申塔などが所狭しと並べられています。

 

前面に6基、後ろにも6基と2列に配置されており、その一つ一つは造形が見事であったりユーモラスであったりするので、別の機会にあらためて解説したいと思います。

 

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その中で、今回着目したのは馬頭観音に混ざって、庚申塔の後ろにひっそりと祀られている珍しい「豚頭観音」です。

 

コンクリートの壁の中にほとんど塗り込められ、わずかに顔をのぞかせている部分でさえ大きく破損していますが、その表面には今なおはっきりと「豚頭観世音」という陰刻が読み取ることが出来ます。

 

普通、動物を祀ったものと言えば馬頭観音、ごくまれに牛頭観音がありますが、豚頭観音というのはおそらくここだけではないかと思います。

 

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この豚頭観音について、三浦市教育委員会が発行した「三浦の文化財」第十三集、「三浦の馬頭観音塔」に詳しく解説されていました。

 

それによれば、この豚頭観音は酒店を営んでいた、三上家の故三上七之助さんによって建立されたものだそうです。

この酒店は現在はセブンイレブンとなっているそうです。

 

三上家では戦前、農業を営んでいましたが、堆肥を作るために豚を十数頭飼っていたそうです。

当時の家畜は、現代のような機械的畜産とは違って家族の一員のようなものであったため、三上家では豚が死んでからも豚頭観世音塔を建立し、供養したのだという事です。

 

この豚頭観音が、いつ頃建立され、いつ頃ここに移されてきたのか、までは言及されていないので、今となっては知る由もありません。

 

しかし、この豚頭観音像や、三匹の猿がお互いに耳や口や眼をふさぎあう珍しい庚申塔を眺めていると、当時は自然深かったであろう自然豊かな諸磯の地で、森羅万象のなか信仰深く生きた村人たちの姿が目に浮かんでくるようです。

 

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いま、訪れる人もほとんどない無名の無住寺である心光寺の静かな境内を一人歩くとき、こちらを見つめる地蔵尊の眼差しはたいへん優しく感じました。

 

その脇に刻まれた「三界万霊」と刻まれたように多くの人たちを仏道に導き、また信仰深い人たちの願いを静かに今に伝え、その願いは平成から令和となった現代においてさえ、そのような事を忘れてしまった現代人のことをも見守り、今を生きる人たちに平安あれと願われているかのようです。

 

 

 

 

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