みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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開発された本牧に何を思うか 十二天を支配した大天狗(横浜市中区)

今ではすっかりと埋め立てられてしまった中区の本牧のあたりですが、かつてはどこまでも続く砂浜と松の並木がきれいなところで、地元横浜はもちろん東京などから海水浴に来る人もいたといいます。

今ではその面影はありませんが、そういえば本牧ふ頭も昔はA/B/C/Dと4本のふ頭があったのに、いつの間にかB突堤とC突堤の間が埋められて3本のふ頭になっていたのは驚きです。

 

かつてのB突堤の付け根には、今でも本牧十二天という地名が残っています。

ここに本牧十二天という社がありましたが、米軍に接収された時に移転して現在の本牧神社となっているのです。

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この本牧十二天があったところは、海岸線が少し突き出していたので十二天の鼻と呼ばれていました。

ここには天狗の頭領が住んでおり、何百という数のカラスの子分をいつも従えていました。

日も沈み、あたりが暗くなる頃には決まって大きな羽うちわをバッサ、バッサとふるい、それを合図にわらわらとカラスが集まるそのさまは、実に壮観であったといいます。

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十二天の天狗は、ここに住む鳥や山を守る守り神でしたが、ある日、ひとりの男が白サギを追ってこの十二天へとやって来ました。

白サギが木にとまったので、 先に鳥モチをつけた竿で取ろうとしているところに、大きな手がどこからか出てきて竿を取り上げてしまったのです。

男がびっくりして手の出てきた所を見ると、そこには男の背丈よりも長い鼻を赤くいからせた、見上げるような大きな天狗がこちらをにらみつけていました。

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すっかり腰を抜かした男はほうほうの体で逃げ帰り、それ以来何があっても十二天へは近づかなかったそうです。

昔、この辺りでは十二天の海辺や山から石や木を持ち帰ってくると、必ず祟りがあったと伝えられていました。

それは十二天の天狗の怒りに触れるからであると考えられ、漁師の網に石ころが入ると、「十二天さまへ帰ってくだされ」と言いながら海に投げたのだとも伝えられています。

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現在の十二天には神社もなく、本牧十二天緑地公園として整備されています。

このあたりは鎌倉時代は「平子の郷」と呼ばれ、小田原北条氏の時代には「本牧郷」 の一部でした。

やがて、江戸期に入ると本牧本郷村と呼ばれるようになります。

外国貿易のお金の代わりになるほど貴重であった「いりこ」(干しナマコ)の生産と、内湾を航行する廻船の湊としてにぎわっていた、人口2000人ほどの漁村でした。

 

その中にあった十二天は、本牧本郷村の鎮守でした。

本牧六ケ村」と言われた「間門、牛込、原、宮原、箕輪、台」の六つの集落があり、 「十二天社」は村の鎮守であったといいます。

伊能忠敬が日本国中を測量し、回り終えた江戸後期には、人々が遊覧に訪れることも多くなり、名所図絵には十二天の地がたびたび登場したといいますが、今ではその面影はありません。

 

いまでは本牧十二天に訪れる人はほとんどなく、代わりに周囲にはうずたかくコンテナが積まれ、港湾労働者向けの団地が建ちならび、昔の面影はありません。

このすっかり変わってしまった本牧の地を、天狗はどのような気持ちで眺めているのでしょう。

 

かつては神仙の名も高き天狗の家来であった艶々としたカラスたちが、一心不乱にゴミの袋を漁っている姿を見るとき、まるで栄枯盛衰の縮図を見ているかのような気持ちにさせられます。



 

 

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