みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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疱瘡に苦しむ人たちがすがった 芋神様と芋観音(横浜市金沢区)

横浜市磯子区から金沢区に入ったところ、金沢区富岡の里には富岡総合公園という大きな公園があり、いつも家族連れで賑わっています。この辺りはもともと古い街で、細く入り組んだ路地がその歴史を物語っています。

 

その住宅街の一角にあるのが、臨済宗建長寺派の富岡山 長昌寺(とみおかざん ちょうしょうじ)で、天正年間(1573年~1592年)に小田原北条氏の家臣であった柳下豊後守が亡き妻の菩提を弔うためにわざわざ建立されたという事で、長昌というのは亡き妻の法名からとっているのだそうです。

 

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この長昌寺の御本尊様は釈迦如来ですが、天然痘よけの神様として親しまれている楊柳観音は芋神様として親しまれ、毎年3月の「芋観音御開帳」には芋の煮物が参詣者にふるまわれるそうです。

 
なぜ、芋なのか。江戸時代後期に編纂された一大歴史資料である「新編相模国風土紀稿」で「久良岐郡 金澤領 富岡村」の項に「芋明神社」に、詳しく説明されていました。

小名板橋ニアリ 疱瘡神ナリ 疱瘡ヲイモト訓ルヨリ ・・・とありますが、読みづらいので要約すると、こういう事のようです。

 

それによれば、かつて板橋というところには「芋明神」というものがありました。

それは疱瘡神、すなわち天然痘に霊験あらたかで、石の鳥居をもつ小さな社の神様でした。

縁起は寛永年間、慶珊寺に仕えていた茂右衛門という男が3.5メートルほどの大きな蛇をたたき殺したという事です。慶珊寺の住職がこれを憐れに思って経を読んだところ、その蛇が夢に現れて経に対する礼を述べ、「これより、疱瘡に苦しむ者を救いましょう。よければ社をひとつ建ててくださいませんか」というのです。

起きてみると、枕元には蛇が脱皮した抜け殻が置かれていました。

ただちに住職は社を立てました。当時は神道も仏教もいっしょだったので、神道では疱瘡神として、仏教では楊柳観音として祀られたのです。

その後、いつの頃か慶珊寺から長昌寺のところへ祀られるようになりましたが、その理由は詳らかではありません。

 

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さて、ここまでを読むとその疱瘡神がなぜ「芋明神」となったのかについては詳しくは触れられていません。

 

実は、その次の項に「霊芋」という項があります。

そちらには疱瘡神の社前に池があり、その広さはわずかに2メートル四方たらず。中央の小島には一本の柳の木が生え、その水中には俗に蓮芋という白い芋があったが、四季を通じて枯れることはなかった。

常に青々と茂っている芋の葉であるが、これを折ったりする者があればことごとく祟ったという。

疱瘡に霊験あらたかで、この池を飲めば疱瘡はたちどころに快癒するのだという。

・・・といった趣旨の事が書かれています。

 

また、お寺に張り出された「芋観世音縁起」には、

その昔、富岡の北にある鳥見塚に、豊かな水をたたえて 一年中芋の葉が繁る一間四方の池がありました。 いつの頃からか、「この池の中に小さな観音様が現われるようになり、霊験あらたかなことから、戦国時代末期、 時の地頭や村人達によって池の近くに観音堂が建てられ ました。 この観音様は本来、人々から病苦を抜き去ってくださる恵み深い観音様で、お詣りすればいかなる願いごともかなえられ、また容貌を美しくしてくださるともいわれてまいりました。 この由来から「芋観世音」または「芋神様」と尊称され人々から絶大の信仰を受けられるようになり、ご開帳日には近郷近在のみならず、江戸や相模の国からも子供を連れた参詣者で賑わったと古記録に記されています。

とあります。

このように、さまざまな言い伝えが残されている芋観音です。

 

現在は芋観音の御尊像は観音堂厨子の中に納められて、3月の御開帳の日にしかご尊顔を拝することはできません。

 

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しかし、境内の隅には小さな水屋が残り、御尊像のお姿を約10倍にした石像が安置されていて、こちらはいつでも参詣することが出来ます。

是非とも、お参りの際は清らかなお水をかけてお参りをして頂ければ、ということです。

 

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昔は、今と違って医療技術も発達していませんでした。

今では根絶してしまった天然痘も昔は恐ろしい病気で、一度かかってしまえば神仏にすがるしかなかったのでしょう。

神奈川県の各地には疱瘡神や疱瘡稲荷が祀られています。

 

 

このうららかな春の日、静かな境内を一人歩いて風に揺れる芋の葉を眺めてから芋観音の観音堂に手を合わせるとき、かつてここに多く集った疱瘡に悩む人々の切なる願いが伝わってくるようで、しみじみと感慨を覚えるのです。

 

 

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