みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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子を守った親サメの哀話 ボンボン鮫の伝説(真鶴町)

神奈川県西部に位置する真鶴半島は、弓のように弧を描いた相模海岸から相模灘に突き出すようにしてあり、その地は山深く急峻であるが、現代となっては走りやすく切り開かれ舗装された道が隅々まで整備されて、我が愛車シグナスXでも簡単に先端まで行くことができる。


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その真鶴半島の先端は三ツ石と呼ばれて、岬の先端には海面から突き出た磯場を波が洗う風景となり、まこと風光明媚にして、かの歌人与謝野晶子がこよなく愛したというのもうなずける話である。

 

今となっては訪れる人もまばらな景勝地である三ツ石にも、かつての人々と、神と畏れ敬われた自然との交わりが今なお民話として残されているのである。


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昔、ここ真鶴半島の岬、三ツ石の沖に仲良しのサメの夫婦が住んでいた。

サメの夫婦は、ここへ漁師の舟が来るたびに追い返しては、子ザメを守り親子仲睦まじく暮らしていたという。

 

漁師たちは口々に「三ツ石へ行くでねえ。主のサメにあったらひとたまりもねえぞ」と噂し、この辺りの海をまるで地獄でもあるかのように忌み嫌い避けていたという。


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そんなある日、そのような事情を何も知らない西の国の舟が、江戸の寺へ納める大きな釣鐘を2つ積んで三ツ石の沖に差し掛かった。

 

その時、たちまち舟底には何かが繰り返しぶつかるドスン、ドスンといったものすごい衝撃が響き渡った。

 

何ごとかと船頭が海をのぞくや、見たことも無いような大きなサメが体当たりを繰り返し、その勢いたるやすさまじく、今にも舟をひっくり返しそうな勢いであった。

 

このままでは到底逃げきれぬ、荷を軽くせねばいずれ沈められる。

誰が言うか早いか、舟乗りの一人がそう叫ぶと船頭は鐘を結んでいた綱を切り海中に投げ捨てたのである。

 

さて不幸なのはサメの方であった。

鐘はサメに覆いかぶさるようにして沈み、そのままサメを閉じ込めて海の底深くまで沈んでしまったのである。

 

ようやく舟は動き出したが、今度はさらに激しく舟底を叩くものがあった。それは夫を奪われた妻のサメが、舟を夫の仇と怒り狂って襲っている姿であった。

 

ここで荷を捨てては、鐘の代金を荷主に弁償せねばならない。それでは商売も何もあったものではないのだが、命には変えられぬと船頭は2つ目の鐘を海に投げ捨てると、鐘は妻のサメをも飲み込んで、深く暗い海の底へと沈んでいったのである。

 

三ツ石のサメを退治したという噂は瞬く間に村々に広がり、村の漁師たちは喜んで三ツ石の沖での漁に精を出すようになった。

 

しかし、しばらくすると海の底からボーン、ボーンと寺の鐘をつくような不気味な音が響きわたるようになった。

その不気味な音は途絶えることなく鳴り響き続け、漁師はその不気味さに漁に気が乗らず、皆ほうほうの体で逃げ帰ってくるようになった。

 

村の人々は、その音こそは鐘に封じ込まれた親ザメを助け出そうと、子ザメたちが体当たりを繰り返す音だと悟り、子から親を奪ってしまった事を悔い、しかしてどうする事も叶わず、ただ深く暗い海の底へ向かって手を合わせるしかなかったのだという。

 

それから、しばらくの間は三ツ石の沖合からボーン、ボーンという音が聞こえてくるようになり、村の人々はボンボン鮫と呼んで、今なお語り継がれているのだという。


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いま、三ツ石の沖合いから聞こえてくるのははるかなる海鳥の声と貨物船の汽笛ばかりであるが、かつてこの地で生まれたサメと、体を張って我が子を守らんとした悲しい哀話の中に、親と子のあるべき絆の深さをしみじみと感じさせられるのである。

 

 

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