みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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難所の坂で旅人を救った いわな坂の北向地蔵(横浜市保土ヶ谷区)

JR東海道線保土ヶ谷駅の南にある、岩井町の福聚寺前の坂を石名坂(いわなざか)という。 石難坂とも書かれ、石がごろごろして歩きづらい険しい坂道だった。

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坂の途中には、今なお古井戸が残されており、いまだに絶えることなく清水が湧き出ている。

これは「御台所の井戸」、または「尼将軍化粧の井戸」とも呼ばれており、源頼朝の妻である北条政子が使った井戸水であると伝承されているのである。

 

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この坂を登りきったところ、明倫学園の向かいの辻にあるのが北向地蔵である。

享保2年(1717)に作られたもので、左側には「此れより左の方かなさわ道」、右側には「此れより右の方くめうち道(弘明寺)」と陰刻されているのである。

 

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この北向地蔵にまつわる民話がある。

昔、六部と呼ばれる巡礼が、妻と子をつれてこの坂を登ってきて、ようやく坂の上の辻に出たが、道しるべがなく迷ってしまった。

 

鎌倉へはどの道をいけば良いか分からない六部親子は、辻に座っていれば一人くらい通りかかるだろうと座っていたが、とうとうそのまま夜になってしまったのである。

親子が仕方なく野宿の覚悟を決めたとき、提灯を手にした老僧が息を切らせながら坂を登ってきたのである。

 

老僧は自分の寺で泊まるようにと親子を招いた。その老僧は近くの見光寺の住職で、言うことには夢枕にお地蔵さまが立ち、坂の上の辻で道に迷って困っている親子がいるから寺へ連れてきて泊めるように、とお告げがあったのだという。


こうして六部親子は、見光寺で暖かい一夜をすごし、つぎの朝には無事に鎌倉へと発って行ったのである。

 

それから数年のち、あのときの六部親子が見光寺を訪ねてきて金子を出し、いつぞやのお礼と、もう旅人が困らないよう辻に道しるべを作り、お地蔵さまを祀るように願い出てきた。

これにより建立されたのが、今にみる北向地蔵なのだという。

 

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お地蔵さまは北に向かって建てられたので北向地蔵というが、江戸の方を向いているので江戸向地蔵とも呼ばれている。

 

この辺りはお地蔵さまに対して特別に信心深いようで、前述の「御台所の井戸」の向かいには「御台所のお地蔵さま」が祀られている。

よく気を付けていないと見落としてしまいそうな簡素な石段を登ったところにあり、入り口に小さな庚申塔が立っているので、何かがあるという事がかろうじてわかる程のものである。

 

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入り口の石段の下にある庚申塔は元禄10年(1697年)と古いもので、石段を登った境内には御所台のお地蔵さまを中心に、貞亨3年(1683)や元禄8年(1695)など古い庚申塔が並び、その庚申塔も地蔵形や青面金剛など種類も豊かである。

 

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これらは全て竹林に埋もれるようにしてあり、長い日々の間にすっかり苔むし、お顔が崩れてしまっているものも多いながら、今なお新しい赤頭巾がかけられてお神酒やお賽銭が供えられるなど、地域の方々から一定の信仰は集めているのだろう。

 

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今に比べて、このような坂を越えるという事は決して容易ではなく、今では街中となった保土ヶ谷のあたりも昔は草木がうっそうと生い茂る寂しいところで、この石名坂を難所としたのも分かる気がしよう。

 

いま、薄暗い竹林の中で苔むし物言わない地蔵菩薩の石像に手を合わせて祈りを捧げるとき、かつてこの坂を息を切らせながらこえて行った人たちの、いにしへの息遣いが蘇ってくるようである。



 

 

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