みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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聞くも悲しき悲恋の伝説を今に伝える 天野神社のごりんさま(愛川町)

小田急線を本厚木駅で降りて中津川を遡上していくと、愛甲郡愛川町に入り、その川沿いには天野神社という小さな神社がある。

 

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この近辺には一見して普通の住宅にしか見えないWATRAKANG JAPANというタイ寺院、Chùa khmerというカンボジア寺院、Nays RestoBarというブラジルレストラン、restaurant tikiというペルーレストランなど、Googleマップにはみうけんにとって気になるスポットが目白押しなのであるが、これらは次回に見学に行こうと思いつつ、本殿に二例二拍手一礼した。

 

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すると、横で犬を散歩させていたご婦人が

 

「あなた見ない顔ね! え、横浜の方!? あのバイクで来たの!?  あら~ それはまた遠くから!! やっぱりアレ、小桜姫のお墓を見に来たの?」

 

ふむ、小桜姫というのは小説に出てくる架空の人物で、たしかその舞台も三浦半島とか金沢区とかの話であったと記憶しているが、さて。

 

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なんと、こんなところにも出没しているのか、小桜姫は!!(笑)

しかも三浦荒次郎義意まで・・・ これは夢か幻か。

愛川町教育委員会の名入りで出している案内看板なので、皆が実話と信じてしまうのだろうか。

 

もともとあった石碑文には「口碑によれば三浦氏支族の墳墓と謂う また 由縁の姫御前の悲恋譚をも伝承す」とだけ記載されており、実際に紹介されている伝承はこの程度なのであって、三浦荒次郎も小桜姫も後付けされた脚色なのであろうか。

 

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碑文には、「ごりんさま」は坂本5527番地の一角にあったが、住宅開発により当地に移動した、とある。

下の写真のあたりが坂本5527番地であり、今ではすっかり住宅地であるが、このあたりにかつて館か砦のようなものがあったのだろうか。

前述のご婦人も、このあたりは昔はお殿様が住んでいたらしいわよ、とおっしゃっていた。

 

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このあたりに、なんというお殿様が住んでいたか。それはいつの時代だったか。

江戸時代には数百石の旗本となれば「お殿様」であるし、地域の庄屋や名主を尊敬の意味をこめて、または年貢を取り立てる者の総称として「お殿様」と呼ぶこともあったというから、ここに伝わる「お殿様」もそういう類であったのかもしれないし、本当に鎌倉時代室町時代あたりに小さな砦か館くらいはあったのかもしれない。

まぁ、このあたりは近々「相模風土記」あたりを見てみるとして。

 

それでも、このあたりは三浦一族の所領ではないので、三浦氏支族の墓というのも疑問符がつくのであるが、会話を聞いて集まってきた地域の方々3人ほどからお話を聞くかぎり、たしかに「お姫さまが鏡で対岸と連絡をとり、その結果スパイの疑惑をかけられて殺された。」という言い伝えは昔からあるそうで、そのうちの一人は戦前にはすでにそういう言い伝えはあった、とお話してくださった。

そのお名前は小桜姫というのですか? この塚はなんという名前ですか? と聞いたら、

「これは姫塚じゃない、ごりんさまだ。お姫様だって美しいお姫様ってだけで、名前などは聞いたことはないよ。これ(愛川町教育委員会の掲げた看板)が実話かどうかは分からないよね。どこにでもある昔話だよ」との事であった。

 

いろいろとお話を伺いながら、「ごりんさま」と呼ばれている五輪塔に改めて向きあうと、なるほど時代も戒名も分からない無銘の五輪塔や宝篋印塔が並び、いたずら防止のためとは言えオリに囲まれた姿がよりいっそう哀れではないか。


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登場人物が誰なのか、庶民なのか武士なのか、はたまた村娘なのかお姫様なのかはさておき。

若者と美しい娘が川の対岸で鏡を光らせながら合図を送り、愛を語りあう姿は想像するだけでもなんとも微笑ましく、美しい光景ではないか。

 

そして、昔も今も、土地と土地の境界線は川や道路、石標である。それらを隔てて合図を取り合っていれば、怪しき奴として捕縛される事もあったろう。

 

この「ごりんさま」にまつわり、石碑文に刻まれた話が昔話だと言われている限り、どこまでが本当かを探るのは野暮というものであろう。

由来の是非はともかく、この地にはたしかに五輪塔と宝篋印塔が残り、美しい娘と若者の悲恋の伝説が残されているようであり、あくまでもこの地で語り継がれてきた民話の域を出ないからである。

 

はるか昔、なかなか会えぬ愛しい人を思いながら鏡を眺め、対岸を照らしてみる美しいお姫様。


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一滴一滴の雨水が階段の石を穿ったように、実に艶やかで美しく、悲しみのあふれる物語は連綿と語り継がれているのである。

 

 

 

 

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