これは日本が誇る伝説の漫画家・手塚治虫先生の作品の中でも「ブラック・ジャック」の次に好きな漫画です。
太平洋戦争が始まる前の時代から、戦後数十年が経った頃まで。
世界の動きに翻弄され、それぞれの人生を歩んだ三人のアドルフ。
そして、名語り部であり主人公でもある、陸上選手出身の大手新聞記者でありながら弟の変死をきっかけに特高警察に追われる身となり凋落していく峠さん。
そんな彼らを取り巻くのは各国の情報員(スパイ)であり、ナチスの冷酷非道なゲシュタポであり、絶大な権力を持つ憲兵隊大佐であり、反戦運動をひそかに続ける共産主義者のグループであり、しつこくつきまとう特高警察であり、パレスチナ解放を目指すゲリラであり・・・
実にいろんな人たちが巻き込み巻き込まれ、シリアスなドラマを展開していきます。
特に見るべきなのは、実際に戦中戦後を生き抜いた手塚治虫先生が描く戦前の日本の姿で、出征のシーンや日雇い労働者が住む街、ナチスの隆盛から没落までを生々しく描いています。
このマンガは1ページ1ページごとに深く考えさせられ、かつ退屈しないマンガです。
みうけんもその一人ですが、戦争を知らない世代に是非とも読んで頂きたいマンガです。