高田かや著「カルト村で生まれました」1巻 完結
ヤマギシ会という、自然農法と集団生活により自活した生活を目指すグループがあります。
本の題名には「カルト村」という名前が使われていますが、実態は集団農場で自給自足しながら暮らす人々の集団で、私有財産も現金も持たない生活は原始的な共産主義ともいえるかも知れません。
ただ、その生活にはさまざまな制約があり、子供は子供、大人は大人と完全に住む世界を分けられてしまっているなど。
つまり、幼いうちから子供達は親から引き離され、血縁でもなんでもない「世話係」と称する大人のもとで集団生活をする事になります。
これは甘えたい盛りの小さな子には本当に辛い事でしょう。
世話係も、子供が好きだからと「なりたくてなった」わけではなく、「任命されて」やっているだけなので子供に対して冷淡であり、ただでさえ少ない食事なのに世話係の気分ひとつで食事を抜かれたりと、およそ現代には似つかわしくないようなお話が繰り広げられています。
外界との接触も、満足できる食事も、親からの愛情も絶たれた子供達。
それが理想社会を実現するためといえば聞こえは良いけれど、本当に子供のためになった生活がなされているかは・・・
この、ヤマギシ会、ヤマギシズムには多くの議論がありますが、せめて子供には親と過ごす時間と、温かくて美味しい食事をたっぷりと与えてあげられたらなと思います。