中華料理で辛いものが揃う、四川料理。
四川省は厳しい気候条件で、その中で生き抜く術として「花椒のシビれと唐辛子の辛味」を重視する「麻辣」(マーラー)が特徴的な四川料理は、日本人の中にもコアなファンが多くいらっしゃいます。
横浜の中華街で四川料理を語るには決して避けては通れなかった、台湾小路の「杜記」さん。
その歴史は古く、とても小さくてこぢんまりしたお店でしたが、2025年4月24日にすぐ近くの香港路にリニューアルオープンされたので駆けつけてまいりました!
店内は、今までの杜記さんをご存知の方であればとても驚かれる事でしょう。
店内は広く、明るく、たくさんのテーブルが並ぶそのさまはまさに老舗の高級中華の装い。
【写真提供:ガチ横浜中華街】
この日は行列ができるほどの混雑で、多くのお客さんは中国人の方。
今回は特別に円卓へ案内して頂きましたが、この円卓も人気がある席なので予約されておくのが吉だと思います。
ドリンクは何にしましょう! この日は全員、「温かいお茶」で意見が一致。
辛いものの刺激や中華の油をスッキリと流してくれる中国茶は、中華料理にはなくてはならない存在ですよね。
◆魚香肉絲(ユーシャンロースー:1380円)
このお料理は細く切った豚肉に、四川料理の定番となる「魚香ソース」を絡めて炒めた料理。
スッキリした辛さのピリ辛と、ちょっと酸味を感じる爽やかな口当たりが特徴です。
むっちむちの豚肉に酸味とピリ辛なソースが絡み、さらにジャキジャキ食感のネギやシャクシャクのキクラゲの食感がたまらない逸品。
四川料理の定番と呼ばれながらも日本人にはあまり馴染みのない料理ですが、この美味しさは白いご飯がガンガンに進んでしまいます。
◆樂山鉢鉢鷄(楽山ボーボージー:1380円)
バンバンジーではなく、ボーボージーです。
本来ならいろいろな食材を竹串に刺してタレに漬け込んだ料理ですが、こちらのボーボージーはドドンと丼に入っています。
ラー油をベースに作り上げたピリ辛なタレに、むちむちの鶏肉と野菜、ピーナツなどとたっぷりと漬け込んだ料理。
竹串がないとバンバンジーに近いような印象もあり、日本人にも比較的馴染みやすい料理であると思います。
◆紅油抄手(ピリ辛豚肉ワンタン:1200円)
ワンタンという名前で売られていますが、少なくとも日本人が想像するワンタンとはかけ離れた風貌。
ブ厚くてむっちりとした皮に包まれたたっぷりの具材は、まさに水餃子と呼べるもので、そこにラー油のソースがかかったものです。
ラー油のソースをよく絡めて、パクリ! 噛み潰した瞬間にお口に広がる皮の食感と、あふれる肉汁が実に特徴的です。
ワンタンはお店によっていろいろなレシピがありますが、こちらのものは皮が厚めで、水餃子により近い食感が楽しめます。
◆四川香腸(四川風腸詰:1480円)
腸に肉を詰めて調理する「腸詰」は、世界中で見られる調理方法。
「麻辣」を得意とする四川省では、腸詰にもしっかりと麻辣が効いています。
ギュムギュムと噛み締めるごとにお口の中に炸裂する肉の旨味の後に、ジワジワと広がってくる辛さと痺れは格別。
これは絶対にビールが進む味わいで、いくらでも食べられてしまう美味しさ!
◆四川烤魚(魚の四川風鍋焼:4980円)
「烤魚」(かおゆい)は、ドドンと大きなプレートに入ってやってきたお魚の開きの麻辣鍋。
中国の四川省は内陸なので鯉やナマズ、ライギョを使った料理で、日本ではスズキやタイも良く使うようです。
今回のお魚は見た感じスズキだろうと思いますが、かなり大きな魚を開いて焼き、旨味と麻辣が効いたスープで煮込んだ料理です。
あまりに大きく、抱えるようなサイズ感のお魚さん。
これはあまりに美味しくて個人的に大好きな料理ですが、このサイズ感ゆえに一人で食べることが出来ないので、このような機会はなかなか貴重です。
さっそく、お玉や大きなスプーンで身を剥がして実食です。
お魚自体も大変美味しいのはもちろんですが、タンパクな白身魚に染み込んでいく麻辣のスープのアンバイが実によく、優しくも力強い旨味を持った白身魚の味わいを、しっかりした麻辣のスープがバシッと引き締めてくれていて、これはクセになる美味しさ。
お魚だけではなく、いろいろなお野菜もドッサリ入っているのが素晴らしいですよね。
「寛粉」(クワンフェン)と呼ばれる、デンプンを固めた幅広の麺がたっぷり入っていて、これがスープを吸ってモチモチの食感となり、この上ない極上の美味しさ!
しばらく煮込んでいくとお魚がスープを吸って、さらに美味しくなります。
ここで白いご飯を注文すれば、もう無敵。これ以上白米に合うオカズが他にあるのでしょうか!?
◆熗炒包菜(キャベツの強火炒め:880円)
キャベツを優しい味付けで炒めた料理で、優しいと言っておきながらしっかりとピリ辛です。
シャッキシャキな食感を残しつつ、しっかりと炒めて火を通しているので青臭さもないのが素晴らしいですねぇ。
◆肉沫酸豆角(豚肉とインゲン炒め:1280円)
むちむちな食感とあふれる旨味が嬉しい粗挽きのお肉。
さらに、酸っぱくなるまで漬け込んだササゲの漬物を一緒に炒め合わせた料理で、中華料理の大人気メニューです。
お肉の旨味とむっちりな食感、下味の醤油の塩味とコク、ササゲの酸味とシャキシャキな食感が組み合わさって、ご飯のお供に最高な逸品。
◆陳麻婆豆腐(陳麻婆豆腐:1080円)
そして、ドカンと出てきた定番の中の定番、日本人でも知らぬ者はいなかろうという麻婆豆腐。
本場四川風をウリにする「陳麻婆豆腐」は四川省で1862年に陳劉さんが考案したもの。
陳劉さんが考案した本格的な「陳麻婆豆腐」を、日本人でも作りやすく・食べやすくアレンジしたのが、あの有名な陳建民さんです。
こちらは本場四川で食べられる本格的な味だそうです。
みうけんは四川は行ったことがないので比較しようはないのですが、見ているだけで頭皮にツンツンと響いて来そうな麻辣が食べる前から伝わってきて、頭皮は汗ばむわヨダレが出るわで大変です。
さっそく取り分けて食べると、うーーん、やはり美味しいのです。
一口目に広がるお肉の旨味と豆腐の優しい味わい、二口目に広がる鮮烈な麻辣による痺れと絡み。
モッタリとした食感もちょうどよく、先ほどお魚でご飯を食べたのに、もう一杯ご飯が欲しくなってしまいますねぇ。
◆紅糖糍粑(赤糖ときな粉お餅:780円)
杏仁豆腐も美味しいんだけどね、やはり最後のデザートも本格的に行きたいですよね。
なんだか長細い物が出てきましたが、これは是非とも食べてほしい逸品です。ただし、かなり熱々なので食べるときは要注意です!
カリッと揚げたお餅。・・・かと思ってパクッといくと、中にはアッツアツの紅糖シロップがたっぷり入っています。
この紅糖シロップが、日本でいうと和菓子の黒蜜を少しマイルドにした感じ。ただしアツアツなので甘さが際立っており、これが辛いものを食べた後の口をしっかりと鎮めてくれる良い作用です。
あまりにも気に入ってしまったので、もう一皿追加してしまいました。
パリッと食感、もっちもちな生地、熱くてトロトロでアマアマな糖蜜が、実に滋味溢れて元気になれる逸品でした。
◆◇◆後記◆◇◆
中華街の中でも人気のある四川料理。さらに、四川料理のお店の中ではかねてから人気のあった杜記さん。
いつも混雑していて行列し、入れなかったお店でもありますが、この度のリニューアルで席数にだいぶ余裕ができるようになりました。
トイレなどにはウォシュレットまでついてしまって、モノスゴイ進化です!
場所も香港路の真ん中という事もあり、より一層目立って、ますます賑やかな「杜記」さん。
これからも四川料理を愛する人たちのオアシスとして、どんどん発展していってほしいと思います。
お試しを!
備忘録としてメニュー写真を載せておきます。
再訪希望値:★★★ 是非とも行きたい
【ほしいものある?】
※食べログでは表示されません
★☆食べログもごひいきに願います☆★