今日の映画です。
最近、映画は見ていますが記事にする時間がなく、更新が滞りがちでした。
今回見たのは、昭和32年(1957年)公開の日本映画、「嵐を呼ぶ男」です。
この映画に出てきた主題歌「嵐を呼ぶ男」はレコード売上枚数62万枚という驚異的な大ヒットを記録した事でも知られています。
◆◇◆あらすじ◆◇◆
ジャズバンドのプロモーター福島美弥子は、ある夜、音楽大学の学生国分英次から兄の国分正一をドラマーとして売り込まれる。
人気ドラマーのチャーリー・桜田が急に仕事を休んだため、美弥子は喧嘩して留置所に入っている正一の身元引受人になり、ステージに出す。
チャーリーが持永の事務所に移籍したため、美弥子は正一を自宅に住まわせ、兄の福島慎介と新バンドでデビューさせる。
音楽評論家の左京徹は正一に、美弥子との仲を取り持ってくれるなら正一を宣伝すると取引する。
左京はテレビで正一を持ち上げ、正一とチャーリーのドラム対決公演を提案。
だがその前日、正一は持永の子分と喧嘩し、左手を怪我してしまう。
翌日の公演では、チャーリーの演奏が優位であったが、正一は右手でドラムを叩きながら歌い、観客の喝采を浴び、ここで両者の優劣がはっきりとし、正一は一気にスターの座へと上り詰めることになるが───。
◆◇◆感想◆◇◆
この映画の見どころは、若き日の石原裕次郎の姿でしょう。
過去に一世を風靡した大スターですが、今ではその姿を知る人も減りつつあるのではないかと思います。
さすがに天才というだけあって、その演技は見ていて飽きないものです。
みうけんは世代的に、この映画を見たことはまったくありませんでした。
しかし、映画好きな父がこの映画のファンであり、日頃からこの歌の存在と、映画の素晴らしさを聞かされていました。
その父がいつも歌っていた、「おいらはドラマー、やくざなドラマー♪」という歌は、とても有名です。
また、主人公である国分正一(石原裕次郎)と、弟の国分英次(青山恭二)の深い兄弟愛。
個人的に、隠れた悪役として策謀をめぐらせる音楽評論家・左京徹(金子信雄)のいやらしさ際立った演技も気になります。
どの俳優も素晴らしく、ストーリーも秀逸ですが。
タダ、個人的には・・・
当時を生きた人にとっては当たり前かも知れませんが、この映画が公開されたのは昭和32年だったかな。
つまり、10年ちょっと前は戦争中で、まだ鬼畜米英と叫び、町内あげての竹ヤリ訓練に勤しんでいた頃。
もちろん、この映画に出演されるほとんどの人が、いわゆる「戦争を知る世代」なわけです。
国内の都市という都市が焦土と化した日本。
見渡す限りの焼け野原だった東京が、10年少しでここまで発展した街になっていたのだとは驚きです。
今ではあまり聞かなくなってしまった「〜だぜ」という話し方、昭和の時代を再現した映画やドラマですら再現されなくなってしまったタバコモクモクの部屋など、ある意味で目新しく写ってしまいます。
今では遠くなってしまった昭和のお話ですが、昭和生まれにとってはどこか懐かしい。
この映画は、そういう点でも見ておいて損はない映画です。
ただ、最後の終わり方がなんとも中途半端なのもキニナル。
、石原裕次郎演じる正一が、その後どうなったかが全く語られていないのが、不思議な余韻を残させますが、これが単にそういうストーリーだったのか、狙ってのことなのか、そのあたりがまたキニナル映画でもあります。
この映画は、いつかは見ておきたいと思ったものの、わざわざレンタルで借りるほどでもなく───。
そのまま何十年かたち、こうしてNetflixで見ることが出来るというのは素晴らしいことです。
さて、この映画は石原裕次郎の演技が大きな話題となった作品です。
石原裕次郎は昭和世代ならば誰もが名前くらいは効いたことがあるだろう大スターですよね。
ちなみに、正一と敵対するチャーリー役の笈田敏夫。
映画の中ではヤクザまがいの芸能事務所に移籍し、手下に正一を襲わせて大怪我をさせるなどと卑怯な手を繰り返しますが、なんとこの映画出演後の4年後、リアルで同じようなことをして逮捕されちゃったりしています。
汚い手を使って人を傷つけるのは、映画の中だけにしていただきたいものですナ。