今日の映画です。
今回見たのは、2001年(平成13年)に公開されたアメリカ映画「ブラックホーク・ダウン」(原題:Black Hawk Down)です。
実際にアフリカの崩壊した国家、ソマリアでおこった多国籍軍とゲリラ部隊の戦い「モガディシュの戦闘」を描いた名作です。
リドリー・スコット監督。
◆◇◆あらすじ◆◇◆
もはや正規の政府が消滅し、群雄割拠のうえ事実上の「戦国時代」「無政府状態」となっていたソマリア。
相次ぐ内戦で国民の生活は崩壊し、もはや人が人として生きることができなくなったところ。
そんなソマリアの内戦を終結させんとする国際世論のもと、アメリカ軍はソマリアへ派兵していました。
国家や法律よりも「氏族」と「血縁」が支配するソマリアで、最大の勢力を誇るババルギディル族を率いるアイディード将軍。
好戦的なアイディード将軍の副官2名を捕らて力を削ぐべく、レンジャー・デルタフォース・航空部隊ナイトストーカーズなど100名に登る精鋭たちが、かつての首都モガディシュへ送り込まれます。
順風満帆にいけば、30分もかからずに終わるとされていた作戦。
しかし、民兵たちの反撃は頑強で、ついに米軍のヘリ「UH-60 ブラックホーク」が2機も撃墜されてしまいます。
仲間を見捨てることを良しとしない米軍は、全力を振り絞っての救出作戦を展開しますが、後から後から集まってくる、数えきれない民兵たちに圧倒されるばかり。
町中に築かれたバリケードにより増援の車輛部隊もなかなか近づけず、さてどうやって仲間たちを救出するか───。
といったお話となります。
◆◇◆感想◆◇◆
個人的には詳しくはないものの、ソマリア内戦には興味があったので、面白く観ることが出来ました。
実際にソマリアへは行ったことがないですが、まるでソマリアの悲惨さが目の前にあるかのようです。
日本人にとっては想像もできない世界。
何十年も内戦が続き、政府も警察も病院も消防も学校もなく。
ただ、殺し、殺される。
奪い、奪われる日々。
そして、そんな中で戦わなければならない若き米軍兵士たちの苦悩たるや。
特に、民間人の女性が逃げ回っていたシーン。
米軍兵士が「銃を拾うな・・・銃を拾うな!!」と祈りながら銃口を向けるのに、民間人の女性は死んだ民兵が持っていた銃を拾って米軍兵士に向けてしまう。
その瞬間、彼女は民間人ではなくなり、失望と諦めに苛まれた米軍兵士から、全身に銃弾を浴びせられてしまうシーンがグッときました。
その時の米軍人の心境や、いかばかりだったでしょう。
ソマリアの民兵なんて、所詮は烏合の衆です。
銃の性能だってよくないし、何しろ射撃が当たりゃしない。
しかし、それでも取り残された米軍兵士にとっては、あまりにも多勢に無勢。
銃を持っていない子供までもが投石をしてくるし、街中を走れば周囲の建物から色んなものが飛んでくる。
そんな中で、いつ救援が来るかもわからず、弾薬の補給もないまま闘わなければならないとは、どれだけ絶望的なことでしょう。
それでも、わずかな希望を捨てずに戦った兵士たち。
「お国のために立派に死んでこい」という価値観が未だに尾を引き、「滅私奉公を美徳とする」日本とは、あまりにも対照的であるな、と思います。
その日本の精神を全否定する気はないですけれど・・・
戦争なんて、イヤなものです。
誰の言葉だったか、「戦争を始めるのは老人で、戦場で死ぬのは若者である」なんて名言がありました。
さらに、太平洋戦争でも、ソマリア内戦でも、数えきれないほどの民間人が犠牲になっています。
しかし、民間人であっても銃を取らざるを得ない理由があるんです。
日本人は平和ボケしている、なんて言われますが平和が一番です。
かつて、日本人も民間人といいつつ竹ヤリを握った時代がありました。
それから80年ちかくたち、今となっては銃を持ったこともない国民が大部分を占める国となりました。
そして、どこかの隣国とは違い、政府の悪口を言おうが、政治家に楯突こうが、粛清されずに発言できる国。
それが、日本の良いところだと思います。
現代の日本の繁栄は、そして自由は先人たちの遺産です。
日本はソマリアのようにはならないとは思いますが、この大切な遺産を次世代に引き継ぎ、もっとよりよい世界になって欲しいなと思いました。