今日(といっても、もう昨日ですが)実にショッキングなことがありました。
あの、アシッド・アタックが日本でも起きてしまったのです。
アシッド・アタックというのは、海外で広く行われている残忍な行為。
相手の顔や体に、強い酸性の薬品をかけて溶かしてしまう、というもの。
特に不倫の報復や男女関係のもつれなどで、女性が被害に遭う場合が多いです。
その薬品がかかったところは全体がやけただれ、皮膚はボコボコになって見る影もなくなります。
それどころか、その薬品が目に入ろうものなら失明してしまいます。
アシッド・アタックに遭ったらどうなるか。
気になる方は、自己責任で見てみてください。
さて、コレは長らく外国での出来事と思っていましたが、2021年8月24日に東京でも発生しました。
白金高輪駅で20代男性「痛い痛い」、硫酸かけられたか…女性も左足やけど
24日午後9時10分頃、東京都港区の地下鉄白金高輪駅から「人が液体をかけられて負傷した」と119番があった。
警視庁高輪署や東京消防庁によると、20歳代男性と30歳代女性が男に硫酸とみられる薬品をかけられるなどし、顔や体にやけどを負った。男は現場から逃走しており、警視庁が傷害容疑で行方を追っている。
高輪署幹部によると、現場は駅出入り口のエスカレーター付近。男はエスカレーターを駆け上がり、追い抜きざまに男性の顔に向けてガラス瓶に入った薬品をかけて逃走した。女性は現場で転倒した際、左足に薬品が付着したという。
男は40~50歳代で身長約1メートル75。黒色のポロシャツにズボン姿で野球帽をかぶり、マスクを着けていた。
目撃した港区の男性会社員(35)は「液体をかけられた男性は『痛い痛い、助けて』と叫んでいた」と話し、エスカレーターと反対側の階段を下りていた世田谷区の男性(46)は「液体は赤くて、ぬるっとしていた。一体何が起きたのか」と驚いていた。
(同日付読売新聞より)
また、警視庁が提供したという犯人の画像が掲載されていました。
右下に写っている白いものが被害者男性の肩であるとすれば、今まさに瓶のフタをあけて男性を追い抜こうとする瞬間でしょうか。
この数秒後には惨事が発生すると思うと、背筋がゾクゾクとします。
もし、この犯人が逮捕されても、いいところ傷害罪でしょうか。
だとしたら、せいぜい懲役15年、50万円の罰金です。
しかし、この被害者である20代男性は、おそらく一生消えない深い傷を、顔面にも、心にも、人生にも負ったのです。
通り魔的なものか、それとも怨恨などによるものかはこれからの捜査が待たれますが、どのような理由があろうともむごすぎる事件です。
これで、もし通り魔で、コロナで失業して無一文になった腹いせでやった・・・とかいう話になれば、もう目も当てられません。
賠償能力もなければ、完全にやられ損です。
よく、日本の公共交通機関は安全で、安心で・・・なんて言われますが、実はあまりそうでもないんです。
戦後だけを考えてみても、また「事故」ではなく「事件」だけに絞っても、たくさん起きています。
パッと考え付いただけでも・・・
横須賀線電車爆破事件(1968年:1人死亡14人負傷)
ぷりんす号シージャック事件(1970年:犯人のみ死亡)
京成スカイライナー放火事件(1978年:死亡者負傷者なし)
新宿駅西口バス放火事件(1980年:6人死亡14人負傷)
地下鉄サリン事件(1995年:14人死亡6300人負傷)
下関駅通り魔殺人事件(1999年:5人死亡10人負傷)
渋谷駅駅員銃撃事件(2004年:1人負傷)
JR東日本電車内・乗務員連続強姦事件(2008年)
東海道新幹線火災事件(2015年:2人死亡28人負傷)
東海道新幹線車内殺傷事件(2018年:1人死亡2人負傷)
小田急線刺傷事件(2021年:10人負傷)
などなど。
ウィキペディアには、まだまだたくさん載っています。
このように、日本の鉄道は決して安全で安心である、と手放しで自慢できないわけですが、今回のアシッドアタックに関しては本当に恐怖しかありません。
このような事件に遭われて、顔が無惨に変わってしまった人の人生たるや・・・。
まして、目まで失ってしまうとなると・・・。
ただ、ただ絶句です。
上記に挙げた事件の中で、今でもハッキリ覚えているのが新宿駅西口バス放火事件です。
この時もバス車内にガソリンが撒かれて放火され、多くの犠牲者を出しました。
全身包帯やタオルを巻かれてミイラ男のようになった人たち。
ミイラ「男」と書きましたが、実際の性別は分かりません。
そんな人たちが、うめきながらタンカに乗せられている姿が何度も何度もテレビに映されていました。
まさに、映画「火垂るの墓」そのままです。
全くこれと同じでした。
当時、今よりもずっと放送に関する自粛ルールが緩かったので、そういう映像も普通にお茶の間に流されていました。
幼かったみうけんには当然トラウマになり、今でもその被害者の姿をハッキリ覚えています。
先日の小田急刺傷事件だって、犯人は車内にサラダ油をまいて火をつけようとしたそうです。
この時は犯人がおばかすぎたので未遂で済みましたが、これがガソリンだったらと思うとゾッとします。
では、我々のような罪なき利用者は、どのようにすれば良いのか。
ネットニュースのコメント欄には、防犯カメラの設置を、という声や、一人一人の荷物検査を、という意見が多かったのですが、それもどうなんでしょう。
防犯カメラは、確かに犯人検挙には役立ちます。
しかし、犯罪抑止効果は皆無ではないにしろ限定的です。
実際、前回の小田急線刺傷事件も今回のアシッドアタックも、犯人はカメラにバッチリ写ってはいるものの、事件は起こってしまいました。
では、荷物検査はどうか。
ちょっと調べましたが、JRの2020年の1日の利用者数ですが、新宿駅で47万人、池袋駅で37万人、横浜駅で29万人です。
もちろん、他の路線の駅(地下鉄や西武や京急や相鉄や東急やあとなんだっけ)も入れればもっと多くなります。
これだけの人々の手荷物検査ですか・・・
ハァ。
どれだけの手間と時間と費用がかかることやら。
野球場やイベント会場でも手荷物検査はありますが、カバンの中を見るだけのザル検査ですしね。
実際に、何度か缶ビールをタオルに巻いて持ち込(ry
そんなザル検査でもスタッフさんが何人も動員されて、かつけっこう行列できて大変なのに、カバンの中を隅々まで見れば時間もかかります。
法律的にも、現行法では「強制」は無理でしょう。
あくまでも任意のお願いベースでやるしかありません。
しかし、それでは拒否する人が続出して意味をなさなくなるのが目に見えています。
空港の金属探知ゲート使っても、ペットボトルにガソリン入れて持ってきたらスルリと入れそうだし。
まさか、飲み物の中身全部チェックしてられません。
いっそ、国際線のように液体持ち込み不可にするか?
実際、現実的ではないのです。
じゃあどうすればいいの??
結局、みんながみんな気をつけるしかないんですよね。
ホームでは列の先頭に立つな、と親に教わりましたが、まさにそれです。
悲しい世の中ですが、コロナが始まってさらに人々の心がギスギスしている中で、またどのような事件が起きるかまったく想像できません。
結局のところ、個々の警戒と、運に委ねるしかないのが悲しい所です。
それでも、日々の生活のために乗らなくてはならない電車、バス。
うちの近所に住んでいる駅員さんは、酔っ払いに包丁を突きつけられた事がある、と言ってました。ケンカなんて日常茶飯事だそうです。
もちろん、そんなニュースにならないような事件も含めると、毎日なんかしらの「事件」があるんだそうです。
結局は、それを甘んじて一人一人が自己防衛するしかない。
なんとも世知辛い世の中だなぁ、とつくづく思います。
でも、どれだけ気をつけたって、今回のアシッドアタックのようにいきなり不意打ちされたらどうしようもありません。
まずは、人に恨まれないように生きていくこと。
そして、運に頼るしかない、というのが現実でしょうか。
こうやって文章を書いているときも、たくさんの方が公共交通機関を利用されていることでしょう。
今はただ、みなさんの無事と平穏な日々が続くことを願ってやみません。