みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

愛車はヤマハのシグナスX。 原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。
風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。
※いままではカタい文章の書き方でしたが、徐々に改めていきます。

大きな池を二分した 二つ池の龍の伝説【前編:獅子ケ谷村のはなし】(横浜市鶴見区)

横浜市鶴見区に、桜の名所として有名な「三ツ池公園」があります。

そのほど近くに、慶長年間(1596年〜1615年)に地域の名主であった横溝家によって整備された農業用ため池の「二ツ池」があります。

 

現在は住宅街として発展した鶴見区ですが、かつてはこの辺りも農村地帯でした。

かつては谷戸の合間に田畑が広がり、それらの農作物を潤すために多くの溜池が作られましたが、この二つ池もその一つでした。

 

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かつては、大きな一つの池でしたが、駒岡村と獅子ヶ谷村にまたがって作られていたために、水の領有権をめぐる諍いが絶えなかったといいます。

当時、溜め池の水をいかに多く取るかは死活問題だったことがうかがえます。

 

獅子ケ谷村と駒岡村の争いがあまりにもひどかったので、とうとう池を2つに分けて、それぞれの村の持ち分としたのが現在の「二つ池」の姿だと言うことです。

 

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みうけんが子供だった昭和の頃、この二ツ池には何度か行ったことがありますが、その頃の記憶ではただフェンスに囲まれたゴミだらけの汚い池、という印象しかありませんでした。

 

しかし、現在は公園として整備されて綺麗になり、桟橋には釣り針を垂れる人たちが列をなしているのどかな光景を眺めることができます。

 

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この二ツ池には、真ん中を区切った堤が竜の体である、と今なお伝えられています。

この「竜伝説」は獅子ケ谷村、駒岡村それぞれに残されているそうです。

 

この回では、まずは獅子ケ谷村に伝わるお話を紹介したいと思います。

 

【獅子ケ谷村のはなし】

 

むかし、この池が大きな一つの池だったころには、この池には竜神が住んでいましたが、滅多に人の前に姿を見せる事はありませんでした。

 

この地域では、古老からの話で「池に石を投げてはならない。もし石を投げようものなら天は暗くなってたちまちのうちに大嵐となって、池の水は竜巻となり、その竜巻からは怒り狂った竜神が火を吹き暴れて村人を襲うだろう」と言われていたので、村人たちは決して池の中に石を落とそうとはしませんでした。

 

この村では、竜神を鎮めるためといっては毎年の暮れになると村からいけにえを1人差し出すことになっていました。

そんなある年の暮れも、今年のいけにえを誰にするかと言う話になりましたが、結局村で一番不作であった家の娘であったタエをいけにえにしよう、ということで決まりました。

 

さっそく庄屋さんがタエの家に行き、今年のいけにえになるように頼んだところ、タエと恋仲であった蓑吉という男が待ったをかけたのです。

 

この蓑吉と言う男は、10頭にもおよぶ熊を従える熊使いの名人で、さっそく熊たちを連れて龍神の住む池に出かけて行ったのです。

 

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蓑吉が池に大きな石を放り込みながら、大声で「竜よ出てこい。退治してくれる」と叫んだところ、空はたちまちのうちに暗くなり、突如として嵐が巻き起こったかと思うと見上げるばかりの大きさの竜が雄たけびを上げながら出てきたのです。

 

竜は熊を見つけると飛び掛かっていきましたが、熊も竜を恐れませんでした。

10頭の熊と巨大な竜の戦いはいつ終わるとも知れず、すさまじい稲光と嵐の中での激しい戦いが続いていましたが、やがて嵐が静まったかと思うと、10頭の熊は竜の体に噛みついたまま動かなりました。

 

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竜も、とうとう最後の力を振り絞って、天高く舞い上がったかと思うと力尽き、池の真ん中に倒れこんだのです。

その竜の死体は土となり、堤となって木が生い茂り、池を二つに分けたのが今の姿であると伝えられています。
 
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今ではすっかり平和となったこの池も、かつて巨大な竜と、立ち向かっていった10頭の熊との間で、激しい戦いが繰り広げられたことでしょう。

 

その後、蓑吉とタエは無事に結ばれたのでしょうか。

このお話では、そこまでは語りつがれていませんでしたが、想像におまかせといったところでしょうか。

 

この二ツ池を分けた竜のお話は、隣の駒岡村では違うお話が伝わっています。

次回は駒岡村のお話を紹介したいと思います。

 

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