みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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横浜の歴史を見守り続けた 道慶橋と道慶地蔵尊(横浜市南区)

横浜市磯子区円海山あたりに期限を発する笹下川は、港南区の「関の下」あたりで日野川と合流して大岡川と名を変え、港南区と南区を流れた後は途中で中村川と別れて、かつての吉田新田であったところを囲むようにして流れています。

 

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その大岡川に沿って京浜急行の線路が走る地域に、かつて戦後に麻薬窟から売春窟として悪名を馳せた黄金町の街並みがありますが、現在はすっかり落ち着いて10年ひとむかしの感があります。

そんな大岡川に架かる橋のひとつに、この道慶橋があります。

 

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現在、大岡川中村川に囲まれている区域は、かつては海の入り江でした。

江戸時代の初期、材木商として富をなしていた吉田勘兵衛によって開墾され、入り江が埋め立てられて新田をなしたのが現在の吉田新田です。

 

それには現在の中華街、関内、馬車道あたりから伊勢佐木町を経て地下鉄の吉野町駅付近まで、現在大岡川中村川に囲まれている区域がことごとく含まれています。

 

明暦元年(1655年)、江戸幕府でいう第4代将軍 徳川家綱公の治世のころ、このあたりを旅していた僧であった道慶禅師が立ち寄ったことがありました。

 

そのとき、この大岡川にはあまり橋はかかっておらず、この地域の住民は川を渡るのにいちいち渡し船を雇うか、腰まで水に浸かって歩いて渡らざるを得ないという話を聞かされた道慶禅師は一念発起します。

 

道慶禅師はこの川べりに簡易な小屋を建てると、師が信仰する地蔵尊に祈りながら数多の困難を乗り越えて、3年後の万治元年(1658年)にとうとう橋を完成させたのです。

 

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完成した橋と、うれしそうに橋を渡る人たちを眺めながら、ほどなくして亡くなった道慶禅師。

残された里人たちは、その遺徳を大いに偲びました。

 

大岡川をはさんだ両岸の住民たちはこの橋に道慶橋と名をつけ、道慶禅師が住んでいた庵があったところに地蔵尊をお祀りし師の菩提を弔いましたが、これが今も川岸に残る道慶地蔵尊であるという事です。

 

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その後、時は流れて横浜の街は大きな変貌を遂げました。

辺り一面の水田だった新田が徐々に開発されて街となり、関東大震災で灰燼に帰すると昭和2年(1927年)に震災復興橋として竣工したものの、再び街は昭和20年(1945年)の横浜大空襲で灰燼と帰するのです。

 

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そういえば、この道慶地蔵尊は江戸時代のものにしては新しい気がします。

あくまでも勝手な想像ですが、かつて街全体を飲み込んだ関東大震災や、堅牢な墓石までも熱風で破壊しつくした横浜大空襲で、この道慶地蔵尊さまも割れてしまったか建て替えの憂き目にあわれたのかも知れないな、と思いました。

 

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数百年にわたって、この大岡川のほとりで発展していく横浜を見守り続けてきた道慶地蔵尊

 

農村地帯だった横浜が徐々に発展し、関東大震災大岡川の河川輸送の最盛期、横浜大空襲の惨禍と黄金町界隈の売春窟の発達、そして現代のコロナ禍にいたるまで。

 

物言わぬ道慶地蔵尊は、この目まぐるしい歴史の移り変わりを、どのようなお気持ちでお見守り続けて来られたのでしょう。

 

いま、秋の日の夕暮れに、数百年の間変わらずに流れ続けてきた大岡川の穏やかな水面にはトンボが飛び交い、時折小魚が円形の波を立てる静かな情景が広がるなか、そのトンボを追う子供たちを道慶地蔵尊さまは今日もそっと見守っておられるのです。

 

 

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