みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

愛車はヤマハのシグナスX。 原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。
風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。
※いままではカタい文章の書き方でしたが、徐々に改めていきます。

邪魔する大人を熱病にかける 子供大好きな権現さま(横浜市中区)

周囲を海に囲まれた本牧は、横浜を愛する人たちにとって特別な名前でもあります。

今は陸の孤島となってしまってみなとみらいや伊勢佐木町からは大きく差をつけられ、しかしそれでも横浜を代表する街の一つであることには変わりありません。

 

そんな本牧の総鎮守である本牧神社は、かつて神仏習合の時代に日天、月天、火天、水天、風天、地天、梵天毘沙門天、大日財天、閻魔天帝釈天羅刹天の仏説十二天を祀っていたことから本牧十二天社という名前で親しまれていました。

 

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場所も現在の本牧マリンハイツの向かい、本牧十二天緑地のところに鎮座されていましたが、その地が米軍に接収されたために現在の位置に移転したのです。

 

それから現在に至るまで、地元ではなお篤い信仰を受けて本牧地域の総鎮守として親しまれていますし、ことに神事「お馬流し」は神奈川県の指定民俗文化財に指定されているという素晴らしいものです。

 

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さて、本牧神社の公式サイトを見ますと「御祭神」の項に「八王子大神(はちおうじおおかみ/おはちょうじさま)」という神様が掲載されているので引用させていただきます。

八王子大神は八柱御子神(やはしらのみこかみ)ともいわれ、かつては本牧神社より約2キロメートル南西に境内地があり、明治政府の合祀令により明治42年本牧神社に合祀されました。

本来は旧牛込村(現在の本牧元町)の鎮守であり、人々に“おはちょうじさま”と称され親しまれてきました。

御祭神は陰陽五行の神にそれぞれ配置されていることから、方除けの御霊験を垂れ給う神です。

 

この八王子権現さまは、昔から子供が大好きな神様と言われています。

子供が大好きな神様の話は多くあり、このブログでも過去記事で紹介させて頂いたことがあります。

 

 

ここ本牧神社の八王子権現さまが牛込村にあったころ、この社殿には柵もなく、本殿には扉すらなかったといいます。

この八王子権現様はもともと海中より発見された御神体で、地元の漁師の人たちはとても大切にしており、幾度か柵や扉を設けて悪い「もの」が入らぬようにしようとしましたが、その度にその人たちに病や大けがなどの災厄が降りかかったのだそうです。

 

というのも、権現様が子供が好きなので、いつでも子供が中に入って遊べるようにという計らいからの事でした。

そんなものですから、子供たちはここぞとばかりに権現さまの御神体を持ち出します。

 

紐で結んで犬のように引き回したり、海で一緒に泳いだり、おままごとの相手にしたりとやりたい放題です。

そして、遊び終えると決まって野の花をつんできては泥まんじゅうとともに供えて、お礼を言って社に返したのだという事です。

 

ある日、見るに見かねた大人たちが、雨の中権現さまを泥だらけにして遊ぶ子供たちを叱りつけては権現様の御神体を取り上げ、本殿の奥にしまい込んでしまったことがありました。

 

村にはたちまち熱病がはやり出しましたが、不思議な事に子供を叱った大人だけが熱病にうなされてたいそう苦しんだのだそうです。

そして夢枕に権現さまがあらわれては

 

「我は八王子権現なり。せっかく大好きな子供たちと遊んでいたのに、なぜ邪魔をしたのか。さらにはあのような窮屈な所に押し込めおって迷惑も甚だしい。すぐにでも我を出さねば、お前の熱は下がらぬぞ」とお告げをされたのだそうです。

 

村人は飛び起きて外へ出ると、そこにはすでに数人の大人が集まっています。

みな、熱にうなされた者ばかりで、その誰もが同じような夢を見たのだと言います。

 

大人たちは大いに反省し、子供たちがまた遊べるようにと権現さまを出し、また村の子供たちに遊ばせると、その熱病はうそのように治ってしまったという事です。

 

今、その御神体は本殿の奥深くにしまわれてしまい、その姿を拝むことはできません。

今どきの子供が、この御神体に紐をつけて連れまわして遊ぶとも思えず、この時代の移り変わりを八王子権現様はどのように思っておいででしょう。

 

この日、本牧神社の前では近くの保育園の子供たちが遠足に来て、楽しそうに歌を歌いながら手をつないで歩いていました。

この八王子権現さまは、今は子供と一緒に遊ぶことが出来なくなっても、大好きな子供たちの歌を聴きながら目を細めて見守ってくださっている事でしょう。