みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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目の見えない村人が信心した 新羽の蓮華寺のお薬師さま(横浜市港北区)

今では第三京浜も通り、地下鉄まで開通して著しい発展を遂げている横浜市港北区の新羽町ですが、ほんの30年前までは町じゅうが小さな町工場で埋め尽くされ、さらにもっと昔は一面の田んぼと豊かな野山が広がるところでした。

 

そんな新羽町の中でも、通称「北ノ谷」と呼ばれているところはまだ緑も多く、道によってはまるで江戸時代か明治時代に新羽村の道を歩いているような錯覚を覚えるほどです。

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さて、この辺りは昔から山深いところで、大蛇(おろち)の類が現れたという昔話も多く残されています。

そういえば、都筑区南山田にある山田神社は妙見様を祀ったもので、蛇の神様でもあったことから「ヤマタのオロチ」などと呼ばれていたという面白い話も残されています。

 

このあたりには、新義真言宗の寺院である新照山 蓮華寺があります。

蓮華寺の境内には小ぢんまりとした薬師堂があり、かつては多くの信者を集めて大変な賑わいだったそうです。

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「新羽史」によれば、この薬師堂には「め」の文字を左右対称に配置させた図柄の大絵馬が飾られているそうです。

「め」の文字は、大きな木版に小銭を並べて描いたものだそうで、大正時代のものだそうです。

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この絵馬は、目が見えなくなった人がこの蓮華寺薬師如来に信心し、その結果目が治ったということで奉納されたという事です。

この時、薬師堂の扉が開いていたのでお参りした後、扉を閉めて帰ったところ、中の薬師如来がお怒りになり、また目が見えなくなってしまったのだという逸話があります。

他の信者のことを考えずに勝手に扉を閉めてしまったことに対する戒めということだそうです。
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今はさすがに時代も流れ、いろいろな事情もあるのでしょう。

薬師堂の扉の鍵は固く閉ざされています。

しかし、御厨子の中に収められているであろう薬師如来様は、今でも時折訪れる人たちの願いに耳を傾けていらっしゃると思います。
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この蓮華寺は山の中のお寺で、訪れる観光客はほとんどいない静かなお寺ですが、だからこそ静寂の中で神仏に向き合う貴重な瞬間を大切にできるお寺です。

 

日も傾きかけた晩秋のこの日、ずっとここにあって新羽の里人たちの姿を見続けてきたお地蔵様のお顔は、みうけんが幼少のころに見たそのままの姿でここにいらっしゃいました。

むしろ、その頃よりも穏やかに見える表情は、今でも変わりない慈悲を人々に施しているかのようです。

 

 

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