みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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グレゴリ青山さんと共有した 鷹取山の磨崖仏の話 (横須賀市)

みうけんの好きなマンガ家さんは、主に手塚治虫藤子不二雄宮崎駿風の谷のナウシカなど)・横山光輝などがいますが、その「好きなマンガ家さん」のうちの一人にグレゴリ青山さんという方がいらっしゃいます。

 

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ja.wikipedia.org

 

京都出身の女性で、古本屋さんでアルバイトしているときに、ある男性の影響で中国への単独旅行を決行した事がきっかけになり、アルバイトと旅行の繰り返しをしながら、旅先で出会った人や出来事などをエッセイ漫画にされてきました。

 

昔、講談社週刊モーニングという雑誌を読んでいましたが、その時に連載された「ひみつのグ印観光公司」という漫画がツボにはまって、以来グレゴリ青山さんの単行本を全部揃えてしまうどころか、間違えて同じのを2冊買ってしまうほどのファンなのです。
(たんなる物忘れやろ、と「突っ込みダルマちゃん」に言われそうですが)

 

 

みうけんが幼少期を過ごした街は工場地帯でした。

さいころから身の回りにはイラン人など外国人の出稼ぎ労働者がたくさんいて、公園にはジュウタンをひいて日夜お祈りをささげ、夕方になれば強烈なスパイスの香りを放つカレーの香りが町じゅうに充満していました。

そんな幼少時代を送ったみうけんには、外国に対する恐怖感もなくむしろ興味の的でもあり、それが高じて海外にもなんども通いましたし、今はなかなか海外には行けなくても細君とともにいろんな国の料理を食べ歩いています。

 

さて、そんなグレゴリ青山さんですが、最近では国内やインドなどいろんなところの思い出を詰め込んだ「グレさんぽ」という連載をされていらっしゃいます。

もう単行本も出ていますよ!!

 

 

この「グレさんぽ」は小学館月刊flowersという雑誌に連載されていますが、2019年11月号(2019年9月28日発売)にオッパマの磨崖仏というテーマが掲載されているという情報を得たので、思わずキンドルで購入してしまいました。

 

 

オッパマ、神奈川県民だったら馴染のある地名ですが、なるほど言われてみれば海外の地名にも似ていますよね。追浜と書いてオッパマと読みます。

神奈川県でもちょっとマイナーな横須賀市の、さらに観光地や繁華街から離れた住宅街でもありますが、もともと山がちな地形であって過去は石切り場として栄えた町でもあります。

 

ですから、こうして歩いてみると何てことはない住宅街なんですが、ちょっと奥に行くと急峻な山道が続くハイキングコースにもなっていて、こうした山々に囲まれていたがゆえに、万が一の時は攻め込みづらいので鎌倉は日本の都として選ばれたのでもあるのです。


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もともと、みうけんの住む街からオッパマは実に近い。

ちょっとサンダルつっかけて行ってくるわ。そんな距離感です。ですから磨崖仏のことはもともと知ってましたが、近いがゆえに行ったことはなかったんですよね。

ですので、今回は「グレさんぽ」に触発されてブラブラとやって参りました。


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住宅街を越えたら、そこは鷹取山(たかとりやま)公園。

鷹取山という地名は、室町時代の名将・太田道灌が鷹狩りをしたとか、鷹がたくさんいたからここで鷹を捕まえたんだとか、高いところを示す「タカットー」という古い方言がもとになったとか、色々言われているようです。


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この山の地質は凝灰岩といって柔らかくて加工しやすく、また丈夫で軽いので鷹取石という名前で親しまれて建物の建材や塀、護岸などにさかんに使われました。

 

明治時代から昭和の初期にかけてさかんに切り出されたため、山の形は大きく変わって浮世離れした姿となり、その姿が妙義山に似ていることから「湘南妙義」「相州妙義」とも呼ばれています。

同じ例は千葉の鋸山にもありますね。

 

また、現在では石切りはされていませんが、登山愛好家たちの崖登りの練習場として親しまれ、壁面には無数のハーケンの跡が刻まれています。

 

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遊歩道からちょっと外れると、まずは最初の磨崖仏。

鷹取山仏像壁画群」と呼ばれている磨崖仏で、グレさんぽにはこちらは言及されていませんでした。きっと気づかなかったんでしょうか? もしそうなら、もう一度来てくださいね^^


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これは昭和40年代、地元の彫刻家であった千場勇次郎氏が横須賀市の許可を取り彫刻したものだそうで、かつては彩色されておらず岩肌に古ぼけた磨崖仏が刻まれ、いかにも古そうな物だったそうです。

 

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今は誰かの手によって色が塗られており、個人的にはそのままがよかったなぁ、なんて思います。

これじゃ風情がないですよね。


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むかし、鷹取山の登り口には「地獄巡り」という名所があったそうです。

今は完全に廃れてしまいましたが、その名残かなとも思いました。

 

そんな中、たった一つだけ彩色されていない磨崖仏がありました。

磨崖仏の表面にはコケのような地衣類がへばりついていますが、こちらのほうが磨崖仏らしい様相です。


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実は、このあたりには本当の磨崖仏がいくつか残されています。古都鎌倉が近いという地理的な関係のほかに、やはり加工しやすい岩質というのも理由になったのかもしれません。しかし、加工しやすいという事は磨滅もしやすいということ。

 

この近辺に残された磨崖仏のうち、過去に2か所を紹介したことがありますが、そのどちらもが完全に磨滅しています。

 

www.miuken.net

 

また、磨崖仏とは違いますが「田谷の洞窟」なんてのもグレゴリ青山さんにはぜひとも漫画にしていただきたいスポットですねえ。

 

bqspot.com

 

さて、ここから先は鎌倉と追浜をつないだ旧道となります。道というよりも、岩壁と岩壁のスキマを縫うようにして歩いていきます。

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途中、いくつか尾根を越えていくと、それまでの静寂を切り裂くようにして、突然子供達の元気な声が聞こえてきました。

すぐ目の前のガケの下には鷹取小学校が見えていますが、この学校のグラウンド脇にも切り立った岩肌がそびえています。この写真は、その崖の上から小学校を眺める形になります。

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途中、ロッククライマーたちの練習を目にしました。みうけんは登山というものが、何が楽しいのか全く理解できないし、そもそも高所恐怖症なので絶対に真似が出来ない趣味ですね。


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こんな切り立った岩肌をグイグイ登って行くんだから大したものだ。


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途中、このように切り開かれた通路があります。このあたりは、一番さかんに採掘されたあたりでしょう。

この奥の空間は実に広くて、石を切り開いて築いた広場のような雰囲気です。

 

グレゴリ青山さんが、このあたりの地形をインド映画「SHOLAY(炎)」に出てきた盗賊のアジトのようだ、と表現されていました。

みうけんはその映画は見たことないのですが、Youtubeで検索すると出てきます。

 

なるほど、確かにこうしてみると盗賊のアジトのよう。

黒澤明映画の「七人の侍」(グレゴリ青山さんは観たかな?)に出てくる、野武士と呼ばれた山賊集団の隠れ家もこんな感じでした。


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そういえば、完全に余談ですが、みうけんが生まれて初めて見たインド映画も「ひみつのグ印観光公司」で紹介されていた「ラジュー出世する」という映画でした。完全にグレゴリ青山さんの影響です。

ヒロインのジュヒー・チャウラーも可愛いし、主人公のシャールク・カーンもかっこいい。

しかし、一番好きなのは語り部として出てくる白い帽子の男、ナーナー・パテーカルだったりするのです。シブいんですよ。わかりますか、グレさん??

 


Raju Ban Gaya Gentleman [Title Song] | Raju Ban Gaya Gentleman (1992) | Shahrukh Khan | Nana Patekar

 

話を戻して、さらに歩を進めていくと・・・

なんだこりゃ! これは2019年9月に関東を直撃して大きな被害をもたらした台風15号の爪痕ですね。各地で木が倒れ、ガケが崩れ、停電もして市民生活はひどく混乱しましたが、その爪痕は今だにこんなところにまで残されています。


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根元に回って見ました。もともと平たい石の上に根を張ったようですね。地中深くまで根をしっかりと張ることが出来なかったようです。

しかし、木の生命力ってのは大したもので、こんな姿になってもしっかりと新芽を上に向けて頑張って生きていました。

それでも、いつかは切られてしまう運命なんでしょう。

何とも哀れな話でもあります。


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このほかにも、たくさんの木が倒れて通路をふさいでいました。

きっと、グレゴリ青山さんが通った際にはこんなふうにはなっていなかったでしょう。そう、こうなっていたら絶対に漫画に出てきます(笑


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そして、ついに到着しました。

これがかの有名な「鷹取山の磨崖仏」です。

グレゴリ青山さんは、この磨崖仏を見て「おおー でかい・・・」と言ったんだとか言わなかったんだとか。みうけんは思わず言いました。はい、一字一句たがわず。

 

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下から見上げると、なんどもエキゾチックで東洋的。

日本の仏像もずいぶん見てきましたが、柔和な表情が多い日本の仏像に比べてシャープさが際立っています。まるでカンボジアの仏教遺跡にでも来たかのようです。


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この磨崖仏は弥勒菩薩像だそうです。逗子市に在住の川口満氏の依頼により、横須賀市在住の彫刻家であった藤島茂氏が昭和40年代に制作したものだそうです。

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こういう大きな磨崖仏は、斜めから見てみるのも いとをかし。

また違った視点で眺めると、違うように見えてくるから不思議です。個人的に、この石仏の秀逸さは足の衣のシワの表現と、脚線美にあるように思います。

顔ももちろんキレイですけどねー


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先ほども書いたインド映画「SHOLAY(炎)」に出てきた盗賊のアジトでは、悪者に縛られたヒーローの前でヒロインが歌い踊るシーンがあり、グレゴリ青山さんはそのシーンを再現して磨崖仏の前で踊ったんだとか。

 

みうけんはその映画は見ていませんが、きっとみうけんもその映画を見ていたら同じことをしていたかも知れません。


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みうけんにとってはグレゴリ青山さんは憧れの漫画家さんのうちの一人。

最近数多く量産されている、ただ自分の生い立ちや経験だけを書き連ねたエッセイとはちがって、数多くの映画を見て、数多くの海外文化に触れて、その上で京の「いけず」などにも触れてきて、その交友の幅も広くて、とっても話のタンスが多いし奥が深いんですね。

あぁ、こういう人に生まれてきたかったな~と思うことが多々あります。

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それにしても、ツイッターはすごいですね。

なんだって、マスコミを通さないで米国大統領のツイートまで見られるんですから。

最近になって、グレゴリ青山さんとツイッター上で挨拶程度交わしていただけるようになりました。みうけんにとっては雲の上の人です。初めて返信いただいたときは、そりゃもう舞い上がる心地でしたよ。

 

この道を、この瞬間を、グレゴリ青山さんと共有できたのかな。

漫画を見ていると、いろいろな価値観も近いような気がします。

そう考えるとワクワクします。もしかしたら、グレゴリ青山さんがオッパマに来られた際に道ですれ違ってるかもしれません。グレゴリ青山さんが食べたという焼きそばパン、みうけんがよく行くパン屋さんのものかもしれません。

 

一見して、京都出身の高名な漫画家さんと、しがないブログをダラダラ書いているだけのみうけんは何の接点もないようですが、ネットを通じてこうして同じ空間を共有できたことに大きな喜びを感じています。

 

これからも応援していますよ、グレゴリ青山さん!!

旦那様にもよろしくお伝えくださいまし!!

 

 

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