令和元年8月19日、横浜市に衝撃が走りました。
神奈川新聞の一面トップを飾った記事「「白紙」一転 横浜市がIR誘致へ 林市長が近く表明」が瞬く間に拡散されたからです。
横浜市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を誘致する方針を固めたことが18日、分かった。林文子市長が近く表明する。長く「白紙」としてきたが、超高齢化や人口減で厳しさが増す財政事情を踏まえ、IRが地域経済や観光の振興、税収の確保につながると判断した。庁内に専門部署を新設し、体制強化も図る。ただ市民の間には「カジノ=賭博場」との受け止めや、ギャンブル依存症などへの懸念が根強くあり、市民を巻き込んだ広い議論を求める声が強まるのは必至だ。
市は9月2日開会の市会第3回定例会に、2億6千万円の一般会計補正予算案を提出する方針。47ヘクタールの敷地面積を持つ山下ふ頭(同市中区)を立地場所とし、議会の承認が得られれば、事業者の公募や選定に向けた準備などに着手する。
市長はIR誘致に対し、前向きな態度を示した時期もあったが、2017年夏の市長選を前にトーンダウンして以降、一貫して「白紙」の立場を強調してきた。その市長が誘致へとかじを切った背景の一つに、国の動向があるとみられる。
18年7月に成立したIR整備法は、自治体の申請や国の認定など開業までの一連の手続きを定めたもので、整備区域は全国で最大3都市としている。第1弾の開業時期は20年代半ばと見込まれ、国は整備区域の選定基準などを定めた「基本方針」を本年度中にも決定する見通しだ。
これを受け、誘致を巡る自治体間の動きが今後さらに活発化することが予想される。実際、幕張新都心への導入を調査してきた千葉市は今月に入り、民間事業者に情報提供を求める方針を打ち出した。横浜市も早期に表明し、他の自治体に後れを取ることなく準備を進めるべきと判断したとみられる。
一方、「白紙」を強調しつつ、民間事業者から構想案を募るなど、これまでの市のスタンスには、市会や市民から「分かりにくい」などの批判が上がっていた。市が6月下旬に開いた市民向けの説明会では、「横浜に賭博場はいらない」「市民に直接、賛否を問うべき」といった反対意見や行政への批判が噴出。だが市長は、7月3日の定例会見で「住民投票をする考えはない」と明言した。
◆IR Integrated Resortの略で、カジノやMICE(国際会議、展示会などの総称)施設、ホテルなどが一体となった施設。政府はIR整備を成長戦略の柱と位置付け、経済振興につなげたい考えだ。IR整備法では、ギャンブル依存症対策として日本人の入場料を6千円、入場回数を週3回、月10回までに制限するとしている。
ここには言及されていませんが、横浜市は深刻な財政難にあえいでいますが、その原因となるのがこちら。
住民税の流出とは、いわゆる「ふるさと納税」による市税の流出です。(ふるさと納税制度については検索して下さい)
2019年度の横浜市から他の自治体に流れた住民税は、およそ136億円。
第2位の名古屋市、第3位の世田谷区を大きく引き離してダントツです。
横浜市でいえば、誰もがバスや地下鉄で目にする敬老パス。あの費用が約100億円。
いま話題になっている横浜市の中学校給食を実現するなら、
近隣の小学校で調理し、配送する「親子方式」→約60億円、
小学校と同じ校内に調理施設を整備する自校調理方式→約260億円、
複数校分を調理し、配送する「センター方式」→約330億円。
一番高いセンター方式でも、ふるさと納税による流出がなければ2年半でまかなえたわけです。
そういうみうけんもふるさと納税は大いに活用していますが、その反面「横浜市だってふるさと納税をやれば、横浜市だけに寄付するのになあ」と、いつも思っています。
最近になって横浜市もふるさと納税に返礼品を出すようになりましたが、あまり魅力的ではないんですよね。
(全寄附メニュー共通)みなとぶらりチケットワイド
(寄附メニュー 1) 横浜女性ネットワーク会議へご招待
(寄附メニュー 5) 動物園共通年間パスポート
(寄附メニュー 7) 横浜みなと博物館招待券
(寄附メニュー12) 横浜美術館展覧会引換券
(寄附メニュー17) 間伐材を利用したネームプレート
(寄附メニュー20) 絵葉書「Yokohama’s Memory」
(寄附メニュー22) チョイモビ ヨコハマ1回無料乗車
正直、どれもいらないなぁって感じです・・・
浜なし、シウマイ、キリンビールなど市内の産業と提携すれば良い返礼品も用意できるし、産業も活性化されるんですが。
このままでは横浜市の経済は先細りになるのは目に見えていて、それは確かに危惧することではあります。
林市長にとって、その救世主となるのがIRということでしょう。
この状況を打破するために、あえて批判の大きいIRを誘致せんという林市長の考えも理解できます。
とは言え、今回のような林市長のやり方は明らかに市民に対する欺瞞であり、このようなやり方をする市長に対して市民の怒りは収まる気配がありません。
また、多くの市民が危惧している治安への影響、ギャンブル中毒者の増加なども無視できる問題ではありません。
このままでは、林市長の次期再選は難しいでしょうね。
みうけんも個人的には横浜市のIRには絶対反対ですが、その反面で財政難解決の切り札がなにが欲しいなというのも事実です。