みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのJog・CE50。時速30キロで見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。

ジョージ秋山著「ラブリン・モンロー」全13巻 完結

ジョージ秋山著「ラブリン・モンロー」全13巻 完結

 

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この漫画は1989年から1993年にかけ、「週刊ヤングマガジン」で連載された漫画です。

このころの漫画はまだエロ・グロが許容されていた時代で、侵略戦争で祖国を蹂躙された弱小国の国民と、娼婦に身を落とした女性たち、そして侵略した側の将校と下級兵士の生き様がイキイキと描かれています。

 

モデルは第二次世界大戦の頃でしょう。「ア・ウルフ・ヒットラン総統」が率いる「ナチツ・ドイツメ軍」が、平和であった「ブータント国」(おそらくはポーランドか)に侵略する場面から始まります。

 

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この漫画には一切人間は出てこず、豚やアシカ、ヤギ、ウサギといったさまざまな動物からなる多民族国家ブータントを、オオカミのナチツ・ドイツメ軍が侵略し、あろうことか豚などはそのまま食糧にされてしまいます。

 

そこでチンピラーノという不良豚や、バッファロールというバッファローレジスタンスを組織し立ち上がります。

その一方で、純真無垢な乙女だったラブリンは家族を殺され、途方に暮れた挙句に娼婦館ラピスのマダムに拾われて娼婦となり、数々の男やウルフ兵を相手にしながら、後半から仏教じみたお話に変わっていきます。

 

このお話のテーマは「悟り」と「生へのはかなさ」「仏の前ではみな赤子」であり、現世仏のようになってしまったラブリンが生のはかなさ、悟りへの道を無意識のうちに説くにつれ、出家して僧になってしまうウルフ兵や一度ゲリラに殺されながら生き返ってしまうウルフ兵も出るなど、しだいに動揺の種になっていきます。

 

そこへ連合軍の総攻撃が開始され・・・ ここで連載は打ち切られてしまい「第一部 娼婦編」すら完結しないまま終わってしまいます。

 

この漫画は、主人公が娼婦であることから、また舞台が戦争中であることから多くの性描写や残虐な描写があり、とくにその対象が動物であったこと、さらに一人の娼婦が不治の性病「エムズRH」(エイズのことか)にかかったばかりか、復讐のためにウルフ兵に体を売り続け性病をうつしてまわるという描写が倫理的にケシカランと、真面目な方々から大きなバッシングのマトとなり連載は休止、単行本の特に10巻以降は非常に少ない数だけを出して即絶版となってしまったため、現在では非常にプレミアがついてしまい、全巻そろって10万円を超える価格で取引されることもあります。

 

 みうけんはまだ若いころ、本屋で立ち読みをしましたがその内容に大きな衝撃を受け、しかして買うことはなかった漫画です。

しかし最近になって突然気になって少しずつ買い集め、半年かけて全巻そろえました。

 

一見するとナルホド確かに人(・・・に見立てられた動物)が生きたまま焼かれたり、殺されたり、犯されたりしていますが、深く読み込んでみると人間とは森羅万象の中でいかに小さな存在であるか、という深いテーマにつながっています。

また、ジョージ秋山先生の兵器に対する丁寧な描きこみは特筆すべきところ。

効果音にあえてカタカナではなくアルファベットを使用しているので、なんとなく軽っぽさを感じない構成にもなっています。

 

先ほども書いたようにこのお話は途中で終わってしまいますが、ゆくゆくは不良チンピラーノは大統領になる構想だったそうで、できればそこまで読んでみたかったと思います。