今日の映画です。
今回見たのは、平成29年(2017年)のイギリス、オランダ、フランス、アメリカ合衆国の4カ国合作映画である「ダンケルク」(原題:Dunkirk)です。
この作品は、第二次世界大戦のダンケルク撤退作戦が克明に描かれており、第90回アカデミー賞では編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞しています。
◆◇◆あらすじ◆◇◆
第二次世界大戦の初期であった1940年5月。
ヨーロッパ戦線において、優勢だったナチス・ドイツ軍によって包囲され、フランスのダンケルク海岸へ追い詰められた連合軍(イギリス・ベルギー・カナダ・フランス)の将兵たち40万人。
逃げ惑う中で仲間も武器も失った英国陸軍のトミー二等兵は、やっとの思いで撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやって来ました。
そこにはすでに英国の救助船が待機していましたが、もちろん英国兵優先となり、フランス兵は乗せてもらうことができずにただ見ているだけ。
そんな中、トミーは英国軍の兵士を埋葬していたギブスンと名乗る無口な兵士と出会います。
ギブスンは実はフランス兵であり、なんとか英国船に紛れ込もうと、死亡した英国兵の軍服を着ていたのです。
トミーと「自称」ギブスンは何とか英国船に乗り込みますが、そこにドイツ空軍がやってきて船は沈没させられ、ほうほうのていで脱出します。
その一方、本国では民間船が徴用され、兵士救出のためにダンケルクへと向かっていました。
そのなかでも、自家用小型船を走らせるドーソンは、息子のピーターと、その友人であるジョージの3人でダンケルクへと一足先に向かっていました。
また、その一方で英国空軍のパイロットであるファリアとコリンズらの小隊は、ダンケルクでの撤退作戦を阻害しにくるドイツ空軍と空中戦を広げます。
決死の撤退を行う将兵たち、彼らのために海を越えてきた数えきれない民間船、そして彼らを守護する空軍のパイロットたち。
彼らに、いったいどんな運命が待ち受けているのか?
そして、将兵たちは、無事に撤退できるのか───。
◆◇◆感想◆◇◆
この映画の秀逸なところは、テーマが陸・海・空と見事に分けられているところ。
この陸・海・空での話がそれぞれ同時進行していくことによって、退屈感がない構成となっているところです。
すなわち、
「陸」=トミーらが敵から逃げ、海岸にて救援を待つ。
「海」=ドーソンらが民間船として救援に向かい、また軍用船が容赦なく沈められていくシーン。
「空」=海岸で救助を待つ将兵に襲いかかるドイツ空軍機と、それを迎撃するイギリス空軍機の交戦です。
これらが見事に交互に展開していくので、全体的に退屈感のない構成になっています。
その反面、話の舞台がコロコロ変わるので、脳内でのストーリー切り替えに慣れるまで少々時間がかかるのかな。
しかし、やっと逃げてきて船内で落ち着けたと思ってジャムパンをかじり、紅茶を楽しんでくつろいでいる時の、「魚雷だー!! ドガーン!! 水バシャー!! ちんぼーつ!!」いやぁ、容赦ないですねえ。
みうけんは海は大好きですが、でも恐怖感もけっこう持っていて、救命胴衣がないと絶対に背がつかないところにはいけない(泳げないわけではない)ので、
この映画は、40万人の将兵たちを表現するべく、6000人のエキストラを使い、撮影も実際のダンケルク海岸で行われたそうです。
(他にも、シーンによってオランダ・アメリカ・イギリスなど)
また、実際の戦闘機や軍艦を改造して使うなど、極力CGに頼らない手法で、臨場感あふれる作品に仕上がっています。
特に、作中でハインケル He 111 と ユンカース Ju 87 の2種類の爆撃機は大型ラジコンが使われ、実際に英仏海峡に墜落させたというこだわりよう。
ストーリー的にもまったく退屈がないし、「いかにして戦場で勝つか」ではなく、「いかにして戦場から逃げるか」というところに主眼をおいた異色な映画であり、見ておいて損はない映画だと思います。