みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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2017年(平成29年)カンボジア・アメリカ合作映画「最初に父が殺された」

今日の映画です。

今回鑑賞したのは、カンボジアとアメリカによって合作され、2017年(平成29年)に公開された映画「最初に父が殺された」です。

 

こちらはアメリカのモデルであるアンジェリーナ・ジョリーが監督となった映画で、残念ながら、いまのところネットフリックスのみでの公開です。

 

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けっこうなショッキングさが目を引くタイトルの映画ですが、これはそう遠くない1975年、平和な中立国であったカンボジアを支配した共産主義政権「クメール・ルージュ」による狂気の虐殺を描いた映画です。

 

フランス帰りのポル・ポト率いるクメール・ルージュは、カンボジアを農民が主体の共産主義国家へと作り替えるべく、政権奪取後は都市住民を強制的に農村に住まわせ、さらに知識人たちを「反革命分子」と決めつけて次々に処刑していきます。

 

知識人といったって読み書きできる者、時計が読める者、都市に住んでいたもの、教師や医師や技師など、さらに新生カンボジアの力となるべく世界中から帰国したカンボジア人、仏教徒、外国人・・・という感じで、その虐殺は凄惨を極め、国民の4分の1を虐殺したばかりか、のちのちのカンボジア経済の発展を大きく阻害させ、国中に埋めた地雷でその後も国民を苦しめるなど、類稀に見る最低最悪な政権だったと思います。

 

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そんな中、まだ小さな女の子であったルオン。

彼女は家族で平和に暮らす平凡な一家でしたが、クメール・ルージュによって全ての財産を奪われた上に強制的に農村に移住させられて強制労働と体罰を受け続け、さらに父を、母を殺され、兄弟は離れ離れになって、しかも少年兵にさせられて・・・という散々な人生を歩んでいくストーリーです。

 

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これはただの作り話ではなく、実在の人物である1970年生まれのカンボジア人女性、ルオン・ウンさん(Wikipedia。ただし英語)の自伝的な性格が強い作品で、そう遠くない過去にこんな事があったのか・・・と暗澹たる気持ちにさせられながら、しかして決して目をそらす事ができない作品であると思います。

 

1970年生まれですよ。

そんなの、みうけんと大して年が違いません。

そもそも、うちの職場にはルオンさんと同い年の同僚がウヨウヨいます。

自分を含めて、同年代の日本人たちは平和な日本の中でノホホンと暮らしていたわけですが、当時5歳だったルオン少女は家族と共に家を追われ、強制労働に明け暮れ、少年兵として訓練を受け、対人地雷を埋め続ける日々を送っていたわけですから。

言葉を失います。

 

この中で、ルオンが命令されて地雷を埋めるシーンがあります。

ベトナム軍が攻めてきたときに撃退するための地雷なのですが、後になってベトナム軍が本当に攻めてきて戦闘になったとき、対人地雷の餌食になるのは逃げ惑うカンボジア人だったりします。

 

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そして、敵であると教え込まれていたはずのベトナムの難民キャンプに保護され、それまで強制されていた粗末な人民服も脱いで、普通の服を着たルオンさん。

 

そんな中、一人のポルポト派兵士が拘束され、難民たちの怒りの標的になります。

 

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ルオンさんは兵士を殴るわけでもなく、ただ死んでいった家族たちのことを思い浮かべながら、皆から殴られるポルポト派兵士を無言で見つめ続ける。

 

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その回想の中には、自発的ではなかったにしろ自らもポルポト派の少年兵として生き延びてきたシーンも回想され、それと交互に殴られる兵士がルオンさんの父親の姿とも重なり、見ているこちらまでが複雑な気分になってきます。

 

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この含蓄のあるシーンが、彼女が今まで味わってきたすべてを物語っているかのようで、実に深いと思います。

 

本当に、そう遠くない1975年からの数年間。

こんな事が現実にあったのか、と愕然とさせられる展開が目白押しの映画です。

言葉では聞いて、その名前くらいは知っていたポル・ポト派。

 

その名前を知っている方も、知らない方も。

この映画を見て、「ほんとうにこんな事があったのか」と一度ガクゼンとしておいても損はない経験だと思います。

 

 

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