1963年(昭和38年)日本映画「天国と地獄」
これは「七人の侍」「椿三十郎」「生きる」などを世間に送り出した巨匠・黒澤明監督の作品の中でも、特に好きな映画です。
元々はエド・マクベイン著「キングの身代金」という小説の舞台を日本にして映画化したもので、「徹底的に細部にこだわった推理映画を作ってみよう」というこだわり、「当時の誘拐罪に対する刑の軽さ」(未成年者略取誘拐罪で3ヶ月以上5年以下の懲役、営利略取誘拐罪で1年以上10年以下の懲役)に対する憤慨」がこの映画を作り出した原動力ということです。
しかし皮肉にも、この映画はヒットした反面でこの映画を模倣されたと思われる誘拐事件が多発し国会でも問題視され、黒澤明監督は大いに後悔し以後は犯罪ものを作ることをやめてしまったんだとか。
あらすじは、まだ戦争の記憶さめやらぬ昭和30年代の横浜。
大手製靴会社『ナショナル・シューズ』社の常務・権藤の息子が誘拐されたという知らせが入るが、息子は何も知らずに帰ってきたことから誘拐されたのはお抱え運転手・青木の息子であったことを知る。
犯人は権藤の子供と青木の息子をまちがえてさらってしまったのだ。
犯人は権藤の全財産であり、会社の株式を買い付け乗っ取るための資金である三千万円を権藤に要求する。
この金を払わなければ、罪もない子を見殺しにする事になる。
しかし、払ってしまえば自らが会社から追い出され、無一文となり路頭に迷う事になる。
権藤は、身代金を払うのか払わないのか───。
ギリギリの交渉を進めながら水面下で進められていく捜査、次から次へと無理難題を吹っかけては嘲笑う犯人からの電話───。
息をもつかせぬ緊迫した展開はもちろんですが、みうけんが特に興味を持ったのが当時の横浜の街並みでした。
浅間台の高台から見下ろすドブ川と化した大岡川や周囲のバラック群、末吉町あたりにあった色々な外国人が集まる根岸屋、麻薬中毒者が蠢く黄金町───。
「実際の黄金町は、あそこまでひどくはなかったなぁ」と当時を知る先輩は評しますが、今では想像もつかない混沌とした時代の横浜を知るのには良いと思います。
「高い所から見下ろしやがって。冷房が効きすぎて寒いくらいだろう。
こっちはうだってるんだ。夏は暑くて眠れない。冬は寒くて眠れない」
そんな怒りを電話口で権藤にぶつける犯人に、当時の横浜の人々が皆感じていた思いを垣間見る事が出来るのです。
そして、特急第2こだまに乗れと言う犯人の唐突の指示。
ここからは、実際に見て頂きたい。
古今まれに見る黒澤映画の真骨頂の一つです。
参考にこちらもどうぞ。
映画を見放題で楽しむなら、動画見放題が だんぜん おススメです!!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓