今夜の映画です。
今夜観るのは、2015年(平成27年)のアメリカ映画「アラビアの女王 愛と宿命の日々」(原題:Queen of the Desert)。
監督はヴェルナー・ヘルツォークです。
これは20日世紀はじめに実在したイギリス人女性ガートルード・ベルの半生記です。
ガートルード・ベルはイラクとヨルダンの国境線を引き、今なおイラク建国の母と呼ばれつつ「砂漠の女王」とされている女性です。
この映画の主人公ガートルード・ベル(演=ニコール・キッドマン)は、裕福な家庭に生まれて名門オックスフォード大学を最優等の成績で卒業しながら、そのあまりの頭脳明晰さと高学歴ゆえに結婚もできず、イギリスの堅苦しい社交界に嫌気が差してイランのテヘランに赴任していた叔父のもとへ旅立ってしまいます。
彼女は初めて体験する異文化に心を躍らせながら、三等書記官のヘンリー・カドガン(ジェームズ・フランコ)、既婚の軍人リチャード・ダウティ・ワイリー(ダミアン・ルイス)との実らない恋愛を通しつつ、その悲嘆を埋めるかのように砂漠を愛し、ある時は砂漠の民ベドウィンの首長に歓待され、あるいはハーレムの女にされそうになりながら、砂漠の民たちを愛し続け交流を深めていく話です。
この映画の特筆すべきところは、事あるごとに出てくる砂漠の情感が素晴らしい事。
荒凉としてどこまでも続く砂漠に吹き荒れる砂嵐の圧倒的なシーンは、風や雨を巧みに用いて演出した黒澤明監督に通づるものがあります。
そして街中にも緑がまったくなく、土ばかりで作られた街。
草一本生えていないような街で、人々はどうやって暮らしているのかと不思議になるくらいです。
エスニック料理大好きなみうけんは世界の料理を食べ歩くかたわら、お店にいるその国出身のコックさんとかの姿を見る機会もあるわけです。
ごくたまにペルシア料理やアラブ料理のお店に行くこともありますが、この映画を見ているとまるで彼らの祖国の姿を見た気分にさせられます。
あの人たちは、こんな国で生まれたんだなぁと。
しかし、旅を続けるガートルード・ベルは途中でいろんな部族に会いますが、決してその全員が西洋人に対して友好的ではなく、銃を発砲しながら押し寄せてくる者もいたりして。
そんな中を旅するガートルード・ベルもすごいのですが、この旅に同行するばかりか「どこまでもお供します」と言い切る従者のファトゥーフたちもすごいなぁと思います。
それにしても、何か月もかけて灼熱の砂漠を旅するガートルード。
ぜんぜん日焼けしないのが不思議!!笑
また、ベドウィンの慣習では賓客には羊を一頭丸焼きにしたものを振る舞うのだそうです。
特に特別な客には、歓待する側の一番偉い人が自ら羊の頭をゲストにふるまうのが最高のもてなしだそうで。
日本にはない文化ですから、一度はこんな接待を受けてみたいものです。
それにしても、この映画を見ていて痛感しました。
世界には、まだまだ知らない事がたくさんあると。
ゾロアスター教徒が家族の遺体を取りに食べさせる「鳥葬」の儀式を行う「沈黙の塔」など、そんなものがあるのかーと今更ながらに感心させられました。
世界ってまだまだ広いなぁ。
この映画は、西洋人でありながらアラブ世界に馴染んで各部族の信頼を得て、国境線を引くまでに至ったいち女性のダイナミックな半生を描いた作品ですが、その反面では実らない恋愛と砂漠の民との交流ばかりで淡々と話が進むので、アクション好きな方には少々退屈だと思います。
ベドウィンを心から愛し、またベドウィンからは今なお「異邦人で唯一の理解者」と慕われるガートルード・ベル。
彼女は、独身のまま愛するバクダッドの地で致死量の睡眠薬を服用して自ら命を断ち、今なおイラク建国の母としてバクダッドに祀られているそうです。
彼女は、なぜかくも砂漠と砂漠の民を愛したのか。
映画の最後に、その問いに対する答えが語られていますので少々長いですが引用させていただき、この記事を終えたいと思います。
弟のファイサル(=後のイラク国王)と私(アブドラ=後のヨルダン国王)はあなたのアラブ報告を読んだ。
すばらしい、我々の思いを表現している。西欧人でベドウィンの心が分かるのはあなただけだ。
あなたを“アル・ハタム”、高貴な女性と呼ぼう。
光栄です。
“誠実な母”と呼ぶ者もいる。預言者ムハンマドの妻の呼び名だ。
預言者直系の子孫のおふたりや砂漠の民の前では私には分不相応です。
あなた方はじき王になる。私が愛する人々の王。
なぜ英国女性がかくも我々を愛する?
信頼するホムス出身の従者がいます。
私は何度も砂漠で命を救われました。
彼の母親は年老いていて息子が5人いますが、彼にはこう言う。
“ファトゥーフ、私が埋葬を託した息子よ”と。
そして天気や庭について話をする。
その想いだけでも砂漠の民は、私の心をつかむのです。
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