中国で発達し、時代を経るにつれ周囲の国々に伝播していった「漢字」は、古くは朝鮮半島やベトナム、日本などに伝わって一大文化圏を築き上げました。
多くの国で廃れた後も日本では親しまれ続け、また西洋からはオリエンタルで不思議な文字として、日本土産の帽子や衣類などのアクセントに人気のデザインともなっていますよね。
また、日本には「漢字検定」と呼ばれる資格試験もあるほど、多くの人の生活になくてはならないものとなった漢字。
その中でも、特に画数が多いとされている文字のひとつが、こちら。
この文字は「ビャン」と呼んで、その画数はなんと57画もありますが、今回はこの「ビャン」の文字を使う「ビャンビャン麺」の紹介です。
今回紹介するお店は中華街の中山路と香港路を結ぶ細い路地にある「東珍味」さんで、看板には「蘭州牛肉面」と「ビャンビャン麺」の文字が燦然と輝いています。
本当は、どちらも違う地方の麺料理ですが、そんな事は気にせずに美味しいものは両方攻めたい、というのが大陸的思考というもの。
お店の前には、いろいろとメニューが張られていて目移りしてしまいます。
中には1杯10万円という「佛跳牆ビャンビャン麺」などというものもあって驚かされますが、「佛跳牆」(ぶっちょうしょう)は数十種類の高級乾物をふんだんに使って何日もかけて丁寧に煮だされたスープで、本来であれば禁欲的な修行僧ですらお寺から飛び出して食べにくるというのが名前の由来だそうです。
ちなみに、この「佛跳牆」は福建料理で、これまた全く違う地方の料理なのも面白いところ。
せっかくなので、1杯10万円のお料理を紹介!・・・したいのですが、悲しいかなお小遣いには限度というものがありますので、今回は一般的なメニューでお願いしまーす。
おすすめメニューは麺類が6種類、あとはラム肉串焼きと牛肉餃子がありますね。
さっそくメニューを決めて入店すると、店内は4人がけテーブルが並ぶ構成。
面積はそこまで広くはないですが、ニコニコがはじける女性スタッフさんが忙しそうに、しかして温かく接客されています。
◆高菜と和牛筋肉入りビャンビャンメン(1180円)
選べる麺は、もちろんビャンビャン麺でお願いします!
しばらく待って、じゃじゃーんと着丼したのはクリアなスープが美味しそうな一杯。
まずはスープから頂きましょう!
一目でクリアさが分かるスープは、思いのほかあっつあつで、飲むごとに身も心も温まりますねぇ。
ズズッとすすってみると、牛を煮出した濃厚な出汁がしっかり主張しており、牛の旨味と香りのバランスがとても良いです。
動物系の旨味を主体に、八角のほのかな爽やかさと高菜の奥深い美味しさ、そしてニラの風味が爽やかに五臓六腑に沁みわたっていく、まさに極上のスープです。
麺はむっちむちで、幅2~3センチというところでしょうか。
横浜などでビャンビャン面をたしなむ御仁からは、「あれっ?意外と幅広くないじゃん!」という声が聞こえてきそうですが、これが本来の「ビャンビャン面」ということで、もっと太いものは「皮帯面」(ベルト麺)と呼ばれる別の料理なのです、ということ。
この麺をモグモグと噛んでみると、むちむちな食感もさることながら、ピロピロと広がった面がたっぷりとスープを含んでいて、おいしさも2倍です。
具材はたっぷりの牛スジがメインで、むっちむちと噛むごとに旨みが炸裂し、その食感もスンバラしいではありませんか。
さらに、これまたたっぷりと入った高菜のサッパリとした風味とジャキジャキな食感がたまらなく、これだけでご飯もお酒もイケてしまいそうです。
スープ、麺はもちろんのこと、具材もかなり気合の入った逸品。
じっくり煮込まれて煮出された旨味を、全体に纏うほどに丁寧に調理されたお料理は、じっくりと時間をかけ、愛情を込めて作られているのが良くわかる珠玉の一杯だったのでした。
◆◇◆後記◆◇◆
みうけんは血圧が高くて、血圧を下げる薬を毎日飲んでいますし、かなり減塩に気をつけているので現在の血圧は毎日「正常値」です。
とうぜん麺類のスープなどは最初の一口くらいしか口にはしないのですが、やはり美味しいスープはついついレンゲが進んでしまいますねぇ。
頑張って少し残しましたが、できる事ならばもう一杯たいらげたい。
それほどまでにクセになる、美味しくてシアワセになれる渾身の一杯を、心ゆくまで堪能するお昼となったのでした。
ちなみに、このお店は向かいにある「美心酒家」さんと同じ経営で、お会計は伝票を持って「美心酒家」さんで済ませる、というスタイルです。
お試しを!
再訪希望値:★★☆ 機会があれば
【みうけんさんおススメの本もどうぞ】
※食べログでは表示されません
★☆食べログもごひいきに願います☆★
東珍味 (中華料理 / 元町・中華街駅、石川町駅、日本大通り駅)
昼総合点★★★☆☆ 3.0