久々の映画鑑賞です。
今回見たのは、2018年(平成30年)公開の韓国映画「工作 黒金星と呼ばれた男」(原題:「공작」)。
最近、映画は何本か見ていましたが、記事を書くのは久々となります。
これは、実際に北朝鮮に潜入して数々の工作を仕掛け、実際に金正日にまで面会したと言われる「北風工作」という逸話をもとに制作されたものである、とされています。
監督はユン・ジョンビン
主演はファン・ジョンミン。
◆◇◆あらすじ◆◇◆
1992年、北朝鮮の核兵器開発を巡って緊張状態が高まる朝鮮半島。
韓国軍の情報部隊の将校パク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は、国家安全企画部のチェ・ハクソン室長(チョ・ジヌン)から、コードネーム「黒金星ブラック・ヴィーナス」という工作員として北朝鮮に潜入する命令を受ける。
北朝鮮の核開発の実態を探るため、事業家に扮したパクは3年にわたって慎重な工作活動を試みる。
パクは北朝鮮の対外交渉を担うリ・ミョンウン所長(イ・ソンミン)から信頼を得ることに成功し、北朝鮮の最高国家権力であるキム・ジョンイルに会う機会を得るまでに至る。
しかし、1997年の大韓民国大統領選挙に際する南北の裏取引によって、パクは自らの工作活動が無になることを知り、葛藤する。
(Wikipediaより)
◆◇◆感想◆◇◆
日本人にとって、スパイというのはせいぜい映画「007」のなかのおとぎ話、程度の認識でした。
それが、一気に身近な存在となったのが北朝鮮による日本人拉致問題。
数多くの北朝鮮工作員が日本に潜入しているという事をしって、驚愕された日本国民は多かったと思います。
しかし、世界的に見てスパイというのは現代でもどこの国にもいるものであり、2022年となった現在でも、日本にはいろんな国のスパイが入り込んでいると思って間違いはないでしょう。
お隣の国韓国は、比較的経済も発展し、政治的にもオープンな印象があります。
どこにでもある平和な資本主義国家ではありますが、実は現在は北朝鮮との戦争は終わってはいない状況です。
そのため、南北では諜報合戦が繰り広げられ、日本人には想像もつかない謀略放送やスパイ事業が日々行われていることを、改めて思い知らせてくれる映画です。
なにしろ北朝鮮に潜入してスパイ活動をするという事実。
ほかの法治国家で露呈するならまだしも、人権などどこ吹く風の北朝鮮でスパイをするわけですから、バレれば死よりも苦しい結末になることは明明白白。
一般人を装って、いかに北朝鮮の中に潜入するか。
話の展開は手に汗を握らずにおれません。
この中で、印象的だったのが北朝鮮国家安全保衛部課長であったチョン・ムテク(チュ・ジフン)。
スパイ役のパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)に決して心を開かず、常に敵対的な態度を取る彼ですが、執拗にホメちぎりながら賄賂や出世をチラつかせるパク・ソギョンに対し、一瞬だけ笑顔を見せるシーンがあり、実に印象的でした。
そして、北朝鮮対外経済委員会所長であるリ・ミョンウン(イ・ソンミン)。
彼が逮捕され、連行されていく姿を家族が不安げに見つめるシーン。
北朝鮮では、本当にあるリアルな光景なのでしょう。
実在した工作員、黒金星(朴采書(パク・チェソ)といった)は、史実では国家保安法違反容疑で逮捕され、服役しています。
国家の命令で、国家を守ために命懸けで敵国に潜入した結果が祖国による逮捕であったとは。
まさに、国家と国家のはざまで翻弄され、使い捨てられていく悲運の人生と言わざるを得ず、このような悲しい事件が現代でも続いていることに衝撃を受けた名作でした。