みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

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新田開発に身を捧げた 美しい娘の人柱伝説(横須賀市)

横須賀線京急線久里浜駅を起点に、駅前を流れる平作川に沿って国道134号線を南下していくと、ほどなくして夫婦橋という橋にたどり着くことができる。

この橋はもともと二つの橋が仲良く架かっていたので夫婦橋の名がついたのだという。

 

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今では横須賀市の大動脈として交通量も多く、また駅前の繁華街にさしかかる橋である事から市井の人の往来もはなはだ多いのであるが、その誰もが振り向きもせず通り過ぎて行く橋の脇に、一基の古ぼけた開拓記念碑が残されている。


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ふつう、開拓記念碑であれば正面に「開拓記念碑」とでも大書きしそうなものであるが、その表面には「南無阿弥陀仏 霊厳寺大誉」と刻まれ、その年号は寛文丁未年、すなわち寛文7年(1667年)というから徳川幕府4代将軍家綱公のころである。


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むかし、この辺りは内川入り江と呼ばれ現在の北久里浜駅あたりまで続く奥深い内海であった。

 

万治2年(1659年)に横浜の野毛新田(のちの吉田新田)開発を成功に導いた技術者である砂村新左衛門は、この内川入り江を一目見るや素晴らしい新田を開けると確信し、さっそく新田開発の許可を幕府に取り付けると工事に着手したのである。

 

しかし、この工事は思ったより難工事でいっこうに完成に結びつかない。

堤防が完成間近となるや大雨が降って決壊し、水門を設けてみては高波にさらわれるというありさまで、困り果てた砂村新左衛門のみならず工事を請け負う人夫や村人の中にも神仏にすがろうと考えるものが増えていったのも自然の事であろう。

 

そうなると出てくるのが横浜の野毛新田でも「おさん」の伝説が残る「人柱」なのであるが、当然そのような役に志願する者はなく、さりとて誰かが誰かを指名することもできず、ただ悪戯に時は流れていくばかりであった。

 

この時、日雇いをしていた貧しい夫婦にたいそう美しい娘がおり、この娘を金で買って人柱にしようという話になった。

 

この貧しい夫婦と娘は自らの貧しい境遇を嘆き悲しんだが、多くの村人を助けるためと懇願され、娘ともども泣く泣く承諾したのである。

 

この娘は身を清め、念仏が唱えられるなか白装束に身を包み、土手の奥深くへと埋められていった。

 

娘は箱に入れられたまま鈴をもって埋められ、しばらくの間は地中の箱の中で鈴を鳴らし続ける音が、空気とりの竹筒を通じて外まで聞こえていたという。

 

その後、不思議にも工事は順調にすすみ、計画よりも立派な堤防が仕上がり、橋までも立派に架け替えられ、その後どんなに天候が荒れようとも堤防も水門も橋も流されたことは無くなったのだという。

 

いま、この娘のことを語る人はわずかとなったが、夫婦橋からほど近い正業寺には今でも砂村新左衛門夫妻の墓が残されているが、その案内看板に人柱についての言及はない。

 

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このような難工事や天変地異を鎮めるための悲しき人柱伝説は日本各地にみられ、神奈川県だけでも内川新田の娘、吉田新田の「お三」、海老名市の「お松」が著名である。

 

難工事を成功に導くためとの大義名分のもと、若くして土中にその命をうずめる事となった娘たちの悲しみは果てしなく、しかし現代となってはそこに住む人々さえ人柱となった娘を思い出すことも減ってしまった今、ひとり夫婦橋のたもとに立ち、開拓記念碑の南無阿弥陀仏の文字に手を合わせてはその悲しみが我が身にもよみがえるようで、世の無常のなかに一筋の涙を誘うのである。

 

 

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