一色伸幸原作・山本直樹画「僕らはみんな生きている」1~4巻 完結
今では過去の話となってしまった、バブル絶世のころの日本。
大手建設ゼネコンのサラリーマンであった高橋は、社命により西南アジアの小国・タルキスタンに出張することになった。
そこで出会った支店長中井戸。そのお抱え運転手で若く美人な女性のセーナ。
血で血を洗う内戦と貧困の中、銃弾をかいくぐりながら現地でスーツ姿の営業活動を続ける高橋だが、しだいに現地の生活に慣れカタツムリを食べたりスーツの上着に巻きスカートをはいた生活をしたり、怪しげな闇パスポート屋に追い回されたりして行く。
会社のために、社名の為に。
どんなに命を危険にさらしても、現地人のゲリラに「黄色いサイフども」と陰口をたたかれても、日本の悲しきサラリーマン精神の権化となり自らのすべてを投げ打って会社のために身を粉にしていく。
東京の本社では、「もういないも同然の人間だから」と机を片づけられ、恋人には見放されているとも知らずに────。
このマンガの面白い所は、当時どこにでもいた会社に徹底して忠誠を尽くしたサラリーマンが現地の女と恋に落ち、実はその女は反政府ゲリラのメンバーで、本来は関係のなかった内戦の奥深くまで入り込んでいくところである。
壊れたファミコンを改造してデジタル無線の傍受機(暗号解読器)を作る、しかもCPUをハンダゴテで外して組み替えるなんて(真空管ラジオじゃないんだぞ)マユツバな部分もあるのですが、まぁそんな事を言ってると天国の手塚治虫先生 から「君はマンガと現実の区別もつかないのか」と怒られてしまいますからな。
アジアな話が好きな方にはなかなか楽しめるハナシであると思います。
昔はトコトンまで仕事をするのがカッコよかった時代ですね。
ある栄養ドリンクのCMでは「24時間たたかえますか~」なんて歌が流行ったりして。
今では考えられないことですが、ここには当時たしかにあった日本と日本人の姿を見る事が出来ると思います。
この漫画は映画化もされていますが、そちらもオススメですよ!