かなーり久々に映画のレビューです。
映画のレビューは2023年に書いた「ちいさな独裁者」以来となりますね。
その後もいろいろ映画を見ているは見ているんですが、これは是非ともレビューしなくてはならぬ! と思える秀作に出会えたので、レビューしたいと思います。
その映画は、本年(2025年・令和7年)公開、3時間の長編映画となる「国宝」。
監督は李相日。

この映画は日本古来の伝統芸能である歌舞伎をテーマにした映画で、前述した通り3時間の大ボリュームです。
なので、鑑賞時は水分補給は控え目に! 途中で、しかも一番いいところでトイレに行きたくなりますよ!笑
主人公は昭和のころ、長崎の極道に生まれながらも親を早くに亡くし、歌舞伎の女形としての才能を見出されて歌舞伎役者の家に引取られる。
もともと歌舞伎役者の家には将来を約束された跡取り息子がおり、この跡取り息子と切磋琢磨しながら芸を磨き、やがて波乱の人生を歩んで行くこととなります。
この映画の素晴らしいところは、ふだんはなかなか目にすることがない「歌舞伎」という世界を、グッと近づけてくれたこと。
この映画を見て歌舞伎に興味を持った方も多いのではないのでしょうか。
そして、主人公たちの女形の演技の素晴らしいこと。まるで本物の歌舞伎役者のようで、ここまで達するには相当な苦労があった事でしょう。
演技指導されたのも本物の歌舞伎役者さんだそうです。
ただ、みうけんであっても本物の歌舞伎というものに、そこまで精通しているわけではないので。
この役者たちの演技を本物の歌舞伎役者が見たらどう思うのか、というところもありますが、それにしてもよくできていると思います。
そして、悲しきかな。
いくら素晴らしい歌舞伎でも、いくら素晴らしい歌舞伎役者でも、ひとたび場所を変えてしまうと全く価値がないものになってしまう。
せっかくの素晴らしい演技に見惚れて押しかけてきた客が、実は何の知性も教養もなく「なんだ、男じゃねぇか! だましやがって!」と激昂する姿を見て、(もし女だったらどうしようとしたのか)どんなに素晴らしいものでも見る者によってこうまで価値が変わってしまうのかと愕然とした気分になりました。
あまり詳しく書くとネタバレになってしまうのでこれくらいにしておきますが、この映画はとてもよくできた名作であると思います。
そして、渡辺謙は「沈まぬ太陽」などでお会いしましたが、やはり名優であると思いますなぁ。
1度観覧しましたが、もう一度見ても良いかなと思いました。
お試しを!