横浜で最大の観光スポットのひとつ、横浜中華街。
横浜中華街は中国以外にあるチャイナタウンとしては世界最大級の規模を誇り、縦横無尽に張り巡らされた通りや路地には数えきれないほどのお料理屋さんやお土産屋さん、雑貨屋さんが軒を連ねていますよね。
今回おじゃましたのは山下公園に近い朝陽門を入ってすぐの「上海路」。
老舗の華正楼さんと比較的新しい台湾料理886食堂さんの間に出来た「中華割烹 王」さんです!
ここにはもともとマッサージ屋さんがありましたが、2025年5月8日に「中華割烹 王」さんに生まれ変わりました。
赤とか緑の原色ギンギラギンのお店が多い中華街にありながら、落ち着いてシックな雰囲気をもつオトナの外観です。
さっそく店内に入ると、そこにはニコニコとお待ちくださったスタッフさんの姿で、予約していた旨を告げるとすぐにカウンター席へ通してくださいました。
今回は他のお客さんもいたので写真は撮りませんでしたが、まるで銀座の鉄板焼き屋さんに来たかのような内装で、「ここは本当に中華街?」と聞いてしまいたくなるほど。
さらに、2〜8人は入りそうな個室席も揃えてあるようでカップルでも大人数でも安心ですよね。
◆季節の中華割烹コース 〜麗宴〜(れいえん:全16品 13200円)
夜は7700円から(ランチは4400円から)コースがあり、特にオススメなのがこの「麗宴」コース。
旬の素材を活用した全16品のラインナップで、小籠包にはじまり北京ダックやフカヒレ土鍋など、宮廷料理を含めた中華のフルコースがいただけます。
さぁ、だいぶん前置きが長くなりましたが、いよいよコースの開始です。
みうけんは黒烏龍茶(600円)を頂きました! やはり中華料理にはスッキリ爽やかな烏龍茶。
いっぽう妻ちゃんはオレンジワインの「アランサット・ノンフィルター」(1000円)。
鮮やかなオレンジ色の中にフルーティさを兼ね備え、しっかりとした旨味を持つ美味しい一杯。
◆前菜ニ種盛り合わせ
まずは前菜の盛り合わせで、大きな皿にフレンチのように盛り合わせられた美しい一皿。
冷製の茹で鶏にネギショウガのたれ・揚げ海苔添え、皮付き豚バラ肉とキュウリをサンドしたものにニンニクダレ、そしてクラゲ。
前菜が美味しいお店は、全体的にもクオリティ高いんですよね。
クラゲはシャキシャキで爽やかなライムが効いており、まるでベトナム料理のようなオリエンタルな味わい。
豚バラはニンニクが効いて少し甘めのソースが大好きだし、蒸し鶏は定食でよく見かける、大好きなネギソースにむっちりとした食感が良いなぁと思います。
むっちりやシャキシャキといった食感の違いと、サッパリ感を全面に出した爽やかさで胃のエンジンもかかろうというもの!
◆カツオ紹興酒漬け
新鮮なカツオを1本まるごと仕入れてさばき、たたきにして紹興酒や中国醤油、中国納豆、粒のペッパーなどにじっくりと漬け込んだ逸品。
中国納豆とはいわゆる「豆豉」(トウチ)のことで、みうけんも炒め物をする時などに刻んで混ぜたりしますが、しっかりしたコクがあって美味しいですよね。
カツオらしいむっちりとした食感に、シャキシャキなネギの爽やかな歯応え。
カツオならではの力強くて野生的な味わいに、紹興酒の香りや豆豉のコク、さわやかなペッパーも加わって、深い! 実に深いです。
◆小籠包
中華街で大人気の小籠包は、もちろんみうけんも大好きな逸品。
その日の予約に合わせて、専属の点心師さんが1つ1つ手作りされているんだとか!
中華街の小籠包は「海南之家」のものが一番だと思ったけれど、カニミソが乗ったゴージャスな小籠包もステキです。
ちょっと冷まして、一口でパクリ!・・・と行きたかったけれど、あえてレンゲの上で割ってみました。
コラーゲンを感じる黄色いスープがジャバァとあふれて、旨味もものすごいの!
手作りの皮のプリプリ食感、豚肉のむっちり旨味、カニミソの濃ゆいコクの三位一体は実に贅沢!
◆焼売
中国では古来より、黄色は皇帝にのみ許された高貴な色。
その高貴な色を全身にまとった、見た目にもエレガントなシウマイさんがやってまいりました!
はむっとかぶりついてみると、むっちりと感じる豚肉の中から、プリプリと弾ける海老の食感。
そんじょそこらでは味わえない、とっておきの食感と味わいに中華街の底力を感じました。
◆北京ダック
先ほどから、厨房の奥でずっと油を回しかけられていたムチムチな子。
中国の皇帝が食べた宮廷料理の最たるもの、北京ダックです。
やー、あれが食べられるのかな。ずっと気になって眺めていましたが、パリッと焼かれてサクッと巻かれてやって参りました!
驚愕すべきは、薄餅のモッチモッチさとダック皮のパリジュワな食感の対比!
甜麺醤をベースにしたコクのあるタレに加え、油条(中国の揚げパン)ではなく、カリッと揚げたじゃがいものサクサク感が良いアクセントになっています。
モチモチ、サクパリ、シャッキシャキと、まさに食感で楽しむ北京ダックで、今まで食べていた北京ダックの一段も二段も上を行く逸品でした。
◆魚の春巻き
むっちりとした白身魚と、パリッとした茎レタスを合わせた具材。
茎レタスってなんだ!? と思って調べたらウォースンという中国野菜のことらしく、湖南料理などで定番の食材。
パリッと上がった春巻きは、見た目にもツヤッツヤ・テリッテリ。
中にはむっちりとした白身魚が旨味を炸裂させ、パリッと感じる茎レタスの食感も素晴らしい。
翡翠色と白色という玉(ぎょく→中国で珍重されてきた宝石)の色の組み合わせにも似て、食べただけで高貴な気持ちになれる逸品です。
◆香港風蒸し魚
しっかりとした皮目が美しい真鯛さんを、高音で一気に蒸して旨味を閉じ込めた逸品。
中国での調理法は揚げるか・蒸すかが多いのですが、「蒸し」は旨味を逃さずに火を通すし、揚げるよりもヘルシーなので個人的に好きな調理法。
箸で持っただけで分かる、その身の軟らかさが素晴らしいです。
かぶりつくごとにお口の中に真鯛の旨味がジワジワと広がって、そこに甘めの中国醤油と葱油の香味が加わり、これは白いご飯もお酒もガンガン進んでしまう逸品です。
◆10種の漢方の薬膳スープ
続いてお披露目されたのは、10種類のさまざまな漢方。
正直、これを見ても何が何だか・・・という感じで、漢方ももう少し研究せねばならぬようですね。
唯一知っているのはサナギタケくらいでした。うちの裏山にたまに生えてますからね!(笑
キノコの旨味、貝柱の旨味が全身に染み渡る滋味深いスープ。
そのあまりの美味しさに、禁欲的なお坊さんや動かないはずの仏像が飛びついてしまうという「佛跳牆」(ぶっちょうしょう)を思い起こします。
中には金華ハムや漢方、きのこなどいろいろな具材が入っています。
漢方の滋味深き美味しさと具材の力強い味わいや香りが一体となって、いくらでも飲めてしまうゼイタクな味わいです。
◆鱈のチリソース
サクッと揚げられた2口サイズの鱈に、たっぷりとチリソースをかけた逸品。
このチリソースだけを食べても味わいが深くて、このお店の実力が分かります。
サクッと揚がったコロモにかぶりつくと、中はふっくらとジューシーそのもの。
ホッカホカで旨味と甘味がしっかりした鱈に、ピリッと甘辛いチリソースがよく合いますねぇ。
◆越王台陳年10年(800円)
やはり中華料理には紹興酒。白酒も好きですが黄酒も好きです。
みうけんはお酒はやめてしまったので味は見ていませんが、この香りだけで充分に楽しめるかぐわしさといったら!
◆鴨胸肉の甘醤油煮込み
鴨肉というものは、それだけでむっちりとした美味しさがあり、鶏肉とはまた違った美味しさを誇りますよね。
それを中国のたまり醤油でじっくりと煮込んだもので、表面のテリテリが食欲をそそりますねぇ。
シャクッと切って食べてみると、お口の中で弾ける力強い弾力が素晴らしい!
みっちりと締まった肉質は噛めば噛むほど旨味があふれて、紹興酒との相性もバツグンすぎます。
◆フカヒレ土鍋
言わずと知れた高級食材、フカヒレさんやってきました! なんと1人1つという豪華さです。
しかも、いろいろな種類のサメの中でも高級とされるアオザメの尾ビレをまるまる使った贅沢なもの。
旨味をしっかりと感じる鶏ベースの出汁に、カボチャの甘みを合わせたトロミのあるスープ。
シウマイの時もそうでしたが、中国でも高貴な色とされる黄色い見た目がゴージャスさに華を添えています。
持ち上げてみると、しっかりと形を保ったままのフカヒレさんで、驚くべき大きさ。
食べてみるとツルリとシャックリと、フカヒレならではの独特の弾力と歯応えで、なかなか食べられない美味しさです。
もう、この一皿だけでもこのお店に来た甲斐があったというもの!
◆海鮮と旬の野菜炒め
オープンキッチンのカウンター席なので、手際よく中華鍋で炒めている光景が見えていました。
あれは絶対美味しいやつだろうな・・・そう思って眺めていたら、やっぱり出てきた美味しいやつ!
たっぷり入ったお野菜はズッキーニとエンドウ、そしてシメジにエリンギ。
特筆すべきはプリップリ・中はしっとりのホタテの貝柱で、こんな贅沢な野菜炒めはなかなかありません。
◆コロンビア・ヴァレー・シャルドネ 2021(1500円)
コロンビアと書かれていますが、実はアメリカのワシントンのワイン。
スッキリとした飲み口にフルーティさが際立った白ワインで、どんなお料理にも相性バツグン。
◆シャンソン・ピノノワール(1500円)
ワインの旧世界とされるフランスはブルゴーニュの赤ワイン。
ダークさを抑えた明るめの紅色で、ふくよかな香りをお口の中で感じられる逸品。
◆熟成黒毛和牛バラ肉の煮込み
今まで持っていた中華の概念を大きく覆してくれる、渾身の逸品。
じっくりと熟成させた黒毛和牛をトロットロになるまで煮込んだそうですが、いったい何時間煮込んだのだろう?
もう、このお肉はナイフとフォークがいらないくらいに軟らかいです。
煮込まれた紹興酒の深〜いコクを感じる味わいにトロトロにほどけていく牛さんの繊維は、いつまでも噛んでいたくなる嬉しさ。
そこにシャキシャキな揚げゴボウの食感が良いアクセントになっています。
◆麻婆豆腐
こちらも目の前でシャッシャッと手際よく炒められて、華麗に盛り付けられていった麻婆豆腐さん。
こないだも「香港路で食べるべき陳麻婆豆腐3選」という記事を書いたばかりですが、こちらの麻婆豆腐や、いかに。
見た目にも分かる、しっかりとした花椒づかい。
トロみはゆるめで優しい味ながら、じんわりと滲んでくる奥深い辛さがジワジワと来ます。
豆腐はふんわりとしていて優しい舌触り。
その合間にむっちりと感じる牛肉は粗挽きで、噛めば噛むほど旨味があふれてきます。
今まで色々な麻婆豆腐を食べて来ましたが、こちらのものは間違いなくオススメできるレベル。
辛さもそこまでドギツクないので、辛いものはそこまで得意ではない・・・という方でも美味しくいただけるかと思います。
◆特製炒飯
〆にふさわしい炭水化物、炒飯。
麻婆豆腐に白いご飯も合いますが、せっかく中華街に来たのだから炒飯は嬉しいですよね。
炒飯はシンプルでありながら、料理人さんのウデがもっとも出る料理の一つだと思います。
パラッと仕上がった絶妙な炒め加減、ツヤツヤと光り輝くお米の一粒一粒からはホワホワと湯気が上がり、食べる前からその美味しさが分かる絶品の仕上がり!
中に仕込まれているのは、しっかりと食感を感じるシラスですね。
具材はたっぷりの玉子とシラス、少々のネギとお肉というシンプルなものですが、シンプルだからこそ素材の良さがよく伝わってくる、まさに極上の炒飯でした。
◆本日のデザート
おおっ、中華街の定番である杏仁豆腐! ・・・と思いきや、ジャスミン茶のプリンだそうです。
甘くした牛乳ベースのプリンにスッキリとジャスミンが香り、ベタベタしていないのが良いですよね。
上に乗せられたジャスミンの花がオシャレで、最後の最後まで気が利いています。
つるりと滑らかな喉ごしが実に心地よく、1日のしめくくりにふさわしく、心身ともにシアワセになれるジャスミンプリンでした。
◆◇◆後記◆◇◆
近年の中華街のイメージは食べ放題や食べ歩きばかりに目が行きがちですが、たまにはこうしてゆったりとお食事を楽しんでみたいもの。
ワイワイガヤガヤと大人数でつつきあう大皿料理や、中華街の雰囲気を楽しみながらの食べ歩きも良いですが、夜のふけゆくチャイナタウンのステキな時間を楽しみたい時にうってつけのお店です。
このお店は、2025年5月8日に開店したばかりの新しいお店で、まだまだ穴場な隠れ家スポット。
中華街での特別な非日常を彩る、特別なひととき。
上海路の「中華割烹 王」さん、ぜひともオススメしたいお店です。
お試しを!
再訪希望値:★★★ 是非とも行きたい
【ほしいものある?】
※食べログでは表示されません
★☆食べログもごひいきに願います☆★
中華割烹 王 (中華料理 / 元町・中華街駅、日本大通り駅、石川町駅)
夜総合点★★★★☆ 4.8