博物館はけっこう楽しい。
世界のいろいろな文化に触れたあと、炎天下の都内を歩いてちょっと疲れたので身体にバシッと喝を入れて帰りるべく、中目黒へ。
最近は焼き鳥もいいかなと思ったけれど、ここ数日は暑さのせいか、身体が「とにかく揚げ物を!」と欲しているもよう。
ならば、と予約してやって来たのは中目黒駅より徒歩3分の銘店です。
なんとミシュランガイド東京の1つ星を5年連続で獲得されているという、「天婦羅 みやしろ」さんです!
ミシュランだけではなく、なんと食べログの東京100名店も獲得(2023年)されているという、銘店の中の銘店なのです!
・・・と、気合をいれてやってきたんですが。
なんだこれ! 昭和の頃に住んでいた実家そっくりじゃん!
看板もないし、どう見ても一般家庭だし、本当にここでいいのか?
そう考えていたら、どこか懐かしい郵便受けには「みやしろ」と書かれていました。
思わず彷徨うところでした。
あっぶねー!
意を決して、実家・・・じゃなかった、お店の玄関をガチャッ!
ドアノブの感触まで実家じゃん!
でも、店内に入ってびっくり。
群青の壁をバックにオープンキッチンのカウンターが並ぶ、高貴なスペースでした(ノ∀`)
なんと築100年という建物を改築して作られたという、このお店。
その反面、店内は照明も明るくて和紙と木でしつらえた落ち着く空間です。
スタッフさんにニコニコと席に案内されて、大将にご挨拶。
このお店を切り盛りされる大将は、意外にも物腰やわらかで親しみやすさがありました。
さて、天ぷらだけにサクッと。
◆ディナーコース【海老天海苔巻き・シャトーブリアン・鮑のシャブシャブ など天婦羅みやしろの魅力満載コース】 (税込30800円)
お願いしまーす(人∀`)
こちらのお料理は、このコース一択なので分かりやすくていいですねぇ。
◆獺祭 純米大吟醸 3割9分(2600円)
妻ちゃんがいただいたのは、獺祭。
日本酒好きなら知らぬものはいない、名酒の中の名酒。
ワイングラスでやってくるのもオシャレですよね。
キリッとした飲み口の中かからふんわりと香ってくるお米と麹の香りは、さすがです。
◆ウーロン茶 水出し「オーガニック」(800円)
えっ、これ白ワインじゃないの!?と疑いたくなるようなスタイリッシュさ。
飲み口柔らかで、スッキリとしつつもウーロン茶のふくよかな香りは健在です。
▼とうもろこしのスリ流し
愛知県のゴールドラッシュという、おそらく最も甘みのある品種。
ブドウの葉っぱ(たぶん)をめくってみれば、美しい池の真ん中に島があり、その周囲をお魚が泳いでいて、見た目にも涼しげです。
すすってみると、なるほど甘い! ものすごく甘い!!
まさに、畑で収穫した瞬間にカブりついた、とれたてのとうもろこしの味です。
なんでも、昨日の朝に採れたものを茹でているんだそうです。
新鮮さから来る甘さは、折り紙付きだとか。
とうもろこしの香りも濃厚で、キンッと冷えていて涼しげ。
砂糖などを入れずとも、塩だけでこんなに甘くなるとは驚きです。
▼千葉勝浦のかますの炙り
泡醤油とワサビを添えて、召し上がれ。
思わず「ぅわっ」と声が出るほど身が軟らかくて、お口の中でとろけますねぇ(人∀`)
皮目をあぶった香ばしさがすごく良く、添えられたミョウガの千切りがまた爽やか。
美味しいお店は最初の1品目でわかるなぁ、と思います。
▼車海老
ちょっと半生で、良い揚げ加減の車海老。
衣はサクッと・外側はプリッと・中はトロッと。
高級海老の代名詞と呼ばれるだけあって、その美味しさと美しさは特筆ものです。
なお、天ぷらにつける塩はシイタケ出汁とコブ出汁を合わせたオリジナルのお塩だそうです。
▼海老天海苔巻き
なにやら、おもむろに出てきたおひつ。
中にはもちろん銀シャリさんです。
海苔にご飯を乗せ、手早く揚げた海老天を乗せて甘辛なタレをかけたもの。
味がついているので、そのままで頂きました。
手で感じる食材の温かさ、優しさの後は、海苔のしっかりした香りを堪能!
ご飯、海苔、海老天のゴールデンメンバーが揃ってしまって、もう言葉にできない美味しさです(T ^ T)
▼車海老の顎足
アゴアシですね。何気に写真写りが良くて、バエる部分です。
揚げたてなのでサックサク、まさにスナック感覚の天ぷらです。
よくよく観察すると、小さなハサミがたくさんあって見た目も楽しいですよね。
海老の殻の香ばしい香りと、サックサックとした食感を楽しむ楽しい逸品でした。
▼とうもろこし
スリ流しと同じ、ゴールドラッシュなので甘さは格別です。
シャキッとした歯ごたえもすごく良くて、噛むごとにあふれるみずみずしさも最高!
甘みが際立っていて、しかも上品な逸品。
とうもろこしの香りに、海苔の香りが加わっているのが良いアクセントです。
▼鮑しゃぶしゃぶ
グツグツ煮えたぎってやってきたのは、鮑の肝をコブ出汁で溶いたスープ。
そこに、むっちむちな蝦夷鮑をシャブシャブしていただく・・・なんというゼイタク!!
サッとしゃぶしゃぶすれば、歯ごたえしっかり。
磯の香りもしっかりで、コリコリな食感です。
じっくり30秒しゃぶしゃぶすれば、むっちりやわらか。
肝のスープをしっかりと吸って、耐えがたい美味しさですよ。
途中から出てきたのは、舎利玉の天ぷら。
もう、なんでも揚げちゃうんだから(人∀`)!!
この舎利玉を崩してリゾットに・・・。
と思いきや、なんと蝦夷バフンウニまで投入されました!!
やー、これは絵になります。
そして、まさにゼイタクの極みで、こんなもの頂いちゃってバチ当たらないか心配です(T ^ T)
ズズッとすすってみれば、お口にババーーンと広がる磯の香り!!
蝦夷鮑もバフンウニも同じ昆布を食べて育っている、のみならず。
ベースのスープも昆布だから、相性がすごくいいんですよねぇ(人∀`)
▼オクラ
高知県からやってきた、大き〜なオクラは持った感じもズッシリ。
ねっとりとした食感は、甘くてやわらか!!
お口の中でトロッととろけて、夏のお野菜の香りがお口に広がります。
このオクラを食べると、あゝ今は夏なのか! と実感できる美味しさです。
▼アオリイカ
ツーリングでよく行く、横須賀は佐島の新鮮なアオリイカ。
衣はサクッと、身はスッと噛み切れるキメの細やかさです。
軟らかくて上品な食感の中からは、甘みがしっかり。
肉厚で、甘くって、こんなに美味しいイカ天は初めてかも!
嗚呼、今まで食べていたイカはなんだったのだろうかとすら思いますねぇ。
▼太刀魚の塩焼き
千葉県産の太刀魚を塩焼きに。
大きくて肉厚、ものすごく軟らかくて身がふんわりで、これは美味しい!
ふんわりした身がとろけて、太刀魚の皮目の爽やかな香りと身の旨味がしっかりしています。
今まで、こんなに肉厚で美味しい太刀魚は見たことがないほどの感動もの(T ^ T)!!
▼太刀魚
2枚重ねのうち、上がお腹の部分。塩であっさりと。
個人的にすだちをかけて食べると、なお美味しい!
フワフワで脂がギュッと濃縮されている感じがします。
脂の甘みと深い旨味は白身魚とは思えない味わい深さです。
下に置かれているのは、背中の部分。こちらは天つゆで。
より筋肉質で、むっちりとした食感なのが特徴的。
同じ太刀魚なのに、部位によってここまで食感が違うとは驚きです。
太刀魚に関しては塩焼きで感動したばかりなのに、天婦羅で2度の感動とは!
▼ハモ
丁寧に骨切りされた、九州天草のハモ。
一つは天つゆで、もう一つは塩とすだちでいただきまーす。
さすが、骨切りがしっかりしていて全くストレスなく頂けます!
噛めば噛むほど、素朴で力強いハモの風味が伝わってきますねぇ。
太刀魚と同じ白身魚でも、ここまで風味と食感が違うのかと驚き!
▼マダコの低温調理
横須賀は佐島でとれたプリップリなマダコさんを、やわらかに低音調理したもの。
付け合わせに京の九条ネギの酢味噌がけ。
そのままで味付けなしで食べられるとの事で、パクリと。
んー、タコがぷりぷりでジューシー、甘い!
そこらへんのウデダコよりも食感がやわらかく、ちょびっときいた塩気が美味しくて、これはドリンクが進むわー!
九条ネギは酢味噌が爽やかで、夏にすごく涼しい逸品です。
▼しいたけ
ブ厚い椎茸を醤油で味付けしてあるので、そのままガブリと。
肉厚でジューシー、中まであっつあつハッフハフ!!
これは冬にも食べたい椎茸ですねぇ。
椎茸の旨味は本当に素晴らしいですよね。
個人的には、キノコの中では最高だと思うし、醤油と椎茸の相性は神だなと思います。
「香り松茸、味しめじ」という言葉があるが、椎茸の方が個人的に好きですねぇ。
◆庭のうぐいす 鶯とろ梅酒(900円)
妻ちゃんの2杯目。梅酒をソーダ割で頂きました。
日本酒の酒蔵で作られた梅酒で、濃厚な酸味とうまみがあって美味しいとのこと!
▼和牛のシャトーブリアンの湯葉まき
牛肉の中の牛肉、夢いっぱいの部位シャトーブリアン。
そのシャトーブリアンを湯葉で巻いて、天ぷらにしてしまったものです。
胡椒を2粒噛んでお口の中に香りをためてから、岩塩をつけてパクリ!
もう、胡椒から美味しいなぁ!
ギュムギュムと嚙むごとにお口に広がる牛さんの甘み!
湯葉で巻いてあるので、旨味がギュッと閉じ込められているし火も通り過ぎていないので、食感も軟らかく、旨味もしっかりですねぇ。
胡椒との相性、塩との相性、どちらも秀逸すぎる逸品ですねぇ。
▼海苔の天ぷら
・・・の上に宮城県塩竈産の本マグロの漬けと、北海道のバフンうに、そしてキャビアをテンコ盛りにしてしまったゼイタクな逸品。
正直、これを天ぷらと言っていいのかどうか!
バクッと食べてみると、厚めの海苔がパリッパリ!
本マグロの漬けはお口の中でトロけるマグロの美味しさ。
こってりと甘くてモノスゴク香り高いウニもたっぷりで、ものすごく食べ応えがあります。
正直、これを天ぷらと呼んでよいのかどうか分からないほどのゼイタクさ。
▼アスパラガス
あっつあつの極太アスパラガス。
太い部分は余熱で火を通すので、穂先からどうぞとのこと。
箸で持ち上げた感じがずっしりで、食べる前からすごく良い香りがしています。
食べてみると、シャキシャキとホクホクの良いバランスで、スジっぽさがなくて本当に美味しいなぁ。
さらに追加で根本の部分も出てきました。
こちらもあっつあつで、噛みしめると熱い汁が口にジュワッと広がります。やけど注意!
穂先から真ん中、真ん中から根本とそれぞれの食感が楽しめますね。
同じアスパラで3通りの楽しみがあるというのもオトクですよねぇ。
▼キス
大きくて肉厚な子は、千葉県富津産。
1週間かけて熟成させたのだそうで、何もつけずにそのままどうぞ、とのこと。
サクッとフワッと噛むごとに広がる、上品な香りとタンパクな脂の甘みよ!
さすが天ぷらの定番ネタだけあって間違いはないし、「魚で喜ぶ」と書いてキスとは、よく言ったものだなぁと思います。
▼天バラ
何やら出てきた、ダッチオーブンのような鉄鍋。
ズッシリと重そうで、これでご飯を炊いているのだそうです。
御開帳すると、コブ出汁で炊いたご飯の上にズラリとトマトが!
トマトはご飯を蒸す段階で入れるそうで、これは意外でした。
サックリと混ぜて、まずはコブ出汁のきいたご飯とトマトの風味だけで。
うん、トマトの甘味と酸味がしっかり活きていてサッパリとおいしいです。
次に、白エビとホタテとアスパラの巨大かき揚げを乗せて、ザックザックとかき混ぜて頂きます。
個人的には初めて食べますが、お寿司のバラチラシの天婦羅バージョンだそうです。
彩りもよく、サクサクな食感と昆布だしのご飯、トマトの酸味。
白エビやホタテ、アスパラのそれぞれの食感も「俺も俺も」と主張してくるからすごい!!
何といっても、とにかく量がハンパない。
なんと、食べきれない分はおむすびにしてお土産にしてくださるそうです。
しかし、このかき揚げのサクサク感を楽しむなら今!
はちきれるほどお腹いっぱいでも、サクサク食感を楽しみたくて、ついつい食べ過ぎてしまいました。
しじみの味噌汁と香の物もビシッとついて、大満足の〆となりました。
また、お土産に天かすもいただいて、オトク感が満載なのもうれしかったですねぇ。
▼自家製の塩羊羹と抹茶
最後の甘味まで、手を抜くことは決してありません。
自家製の塩洋館は、フォークがスッと通る優しさ。
塩気をわずかに感じる甘味がお口に広がり、お抹茶で締めくくる。
おいしい天ぷらの余韻を邪魔しない、甘味までよく考えられているなぁと感動にふけりつつ、最後のお抹茶をすすったのでした。
◆◇◆後記◆◇◆
今回訪れたのは、中目黒駅から徒歩3分の隠れた名店「天婦羅 みやしろ」さん。
お店に入るときは、その店構えというか・・・。
一般家庭ぶりから「本当にここが飲食店なのか?」という恐怖しかありませんでしたが、入って納得・食べて感動の名店の中の名店でした。
清潔感のある店内、ニコニコと優しいスタッフさん、まったく気取らずに終始おいしい天ぷらと居心地の良い空間を提供し続けてくれる大将。
余計なBGMはかけず、聞こえてくるのは天ぷらを揚げるシューーーッという小気味よい音ばかり。
しょっちゅう行ける金額ではないにしても、やはりこのクオリティでこのお値段は価値があります。
海外のお客様からの評価も高く、この日訪れていたお客様も海外の方が多かったです。
日本の食文化を、伝統と革新の中で伝えてくれる「天婦羅 みやしろ」さん。
大切な人のおもてなしに、大切な時間をすごすのに、とてもオススメなお店だなぁと思います。
隠れ家なのに人気店なので、予約必須のお店です。
お試しを!
再訪希望値:★★★ 是非とも行きたい
【みうけんさんおススメの本もどうぞ】
※食べログでは表示されません
★☆食べログもごひいきに願います☆★
天婦羅 みやしろ (天ぷら / 中目黒駅、祐天寺駅、代官山駅)
夜総合点★★★★★ 5.0