みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのシグナスX。原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。※現在アップしている「歴史と民話とツーリング」の記事は緊急事態宣言発令前に取材したものです。

愛車はヤマハのシグナスX。 原付またいで、見たり聞いたり食べ歩いたり。
風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。
※いままではカタい文章の書き方でしたが、徐々に改めていきます。

1953年(昭和28年)アメリカ映画「ローマの休日(Roman Holiday)」

本日の映画鑑賞です。

1953年(昭和28年)公開のアメリカ映画「ローマの休日」。

主演はオードリー・ヘプバーンと、グレゴリー・ペックです。

 

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映画の舞台は、おそらく第二次世界大戦前後のイタリア・ローマ。

ヨーロッパの中でも古い歴史と伝統を持つ、ある国の王女であったアン(オードリー・ヘプバーン)は、ヨーロッパの各国を表敬訪問中するたびに出ていました。

 

最後の滞在国がイタリアなのですが、どこの国でもそうであったようにイタリアでも熱烈な歓迎を受けます。


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初めのうちこそ、なんとか笑顔で応えていた王女アンですが、次から次へと詰め込まれるスケジュールにはうんざりしており、1秒ほどの自由時間もなく、全世界からの注目の的とあって行動やファッションも厳しく制限され、ストレスは増していくばかりです。

 

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忙しいだけの一日が終わってようやく眠りの床につこうという時に、秘書から翌日のスケジュールを聞かされるアン。

 

まさに分刻み、食事すら「ダレソレとの食事会」、その後は記者会見だの贈呈式だのといった感じで心が休まる瞬間などどこにもなく、ついにアンはヒステリーを起こしてしまいます。

 

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これに対する医師の対処は、ストレス解消でも休暇を取らせるわけでもなく、鎮静剤と称した睡眠薬を注射して黙らせるというもの。

これに絶望するアンは、とうとう宮殿を抜け出して配達のトラックに隠れ、夜の街へと逃亡してしまうのです。

 

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しかし、城を抜け出して夜の街をさまよううちに「鎮静剤」が効き始め、アンはよりによって道のベンチで詩を詠みながら眠ってしまいます。

 

それを見つけたアメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)は見るに見兼ねて介抱しますが、とうとう行くあてもないアンはジョーのアパートまで付いてきてしまうのです。

 

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意識朦朧とし、何故か詩を朗読しながらグッスリと眠ってしまうアン。

ジョーも特に手を出すこともなく、しかしてベッドを取られた事に憤慨してアンを長椅子に放り投げるなどしながらアンを休ませます。

 

翌日、実は昨夜連れ込んだ娘が失踪していた王女であった事を知ったジョー。

彼はどうあがいても新聞記者です。

これを「王女の秘密のローマ旅行」というスクープに仕立て上げようとし、「物を売る仕事」などと職業を偽りながら、友人のカメラマンであるアービング・ラドビッチ(エディ・アルバート)を呼びつけてローマを連れ歩こうと模索します。


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そんな事は全く知らないアンは、これ以上ここにはいられないとジョーにお金だけ借りると、ジョーのアパートを後にします。

なんとか引きとめようとするジョーですがアンの意志は固く、一度はアンを一人で街に出す事にします。

 

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警護も使用人も秘書もなく、煩わしいスケジュールもお小言もなく、人の視線を気にすることもない。

 

生まれて初めての自由時間の中、自らが失踪した事で国際問題となっている事も気に留めず、アンは市場を散策しては野菜を見たり、サンダルを買ったり、美容院で髪の毛を短くしたりと一人の時間を楽しむのです。

 

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スペイン広場でジェラートを食べながら街を眺めている時、偶然を装って近づいてきたジョー。

ジョーは仕事を休んだといってアンを原付に乗せ、原付で2人乗りしてローマ市内を廻りながら、真実の口を試してみたり、テヴェレ川でのダンスパーティーに参加したりと、青春の時間を謳歌します。

 

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当初、アンの事を特ダネとしてしか見ていなかったジョー。

そして、何も疑わず、所々で騒ぎを起こすたびにアービングに写真を撮られている事も知らず、ジョーを信じてついていくアン。

そして、二人の間にはいつしか友情を越えた感情が芽生え始めるのです。


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この映画の秀逸なシーンはいくつもありますが、とうとう意を決したアンが一人歩いて王宮へと戻っていく後ろ姿。

 

ジョーに対し、決して後を追ってはならぬと言い渡し、後ろを振り向きもせず、未練がましさを全く見せずに去っていくその姿は、やはり王室の一族にいる事を忘れない覚悟というものを感じさせるのです。

 

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その覚悟を裏付ける名セリフが、王宮に戻って側近たちから責められるアンが発した言葉。

 

「王女様。24時間を丸まる無駄にされましたな。」と責める側近に対し、きっぱりと「してないわ。」と返すアン。

 

さらに、

「両陛下には何と申し開きを?」

「病気だったが、回復したと」

「自覚してくださいまし。私に任務があると同様、王女様にも任務があるのです」

「お言葉ですが、その言葉は二度と使わせませんよ。わが国と王家に対する任務を自覚してなければ、今夜帰らなかった。あるいは、永遠に。」と切り返し、側近を黙らせてしまうのです。

 

最後の記者会見では、最前列にジョーが、そしてカメラを構えたアービングが立っている。

その姿を見たアンは全てを察し、一瞬戸惑いますがすぐに冷静さを取り戻しています。

 

「最も気に入った訪問地はどこですか?」と問われ、一度は「それぞれ忘れがたい思い出があります。とても1つには・・・」と模範解答を繰り出すものの、しばらく考えてから口に出た「ローマ、ローマです。ローマの思い出は一生忘れられないでしょう」と答えるアン。

そのやりとりを言葉なく見つめる、ジョーとアービング

この時のアンとジョーの心境はいかばかりだったでしょう。

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最後の記者たちとの挨拶でも、アンもジョーもアービングもお互いに知らなかったふりをします。

そこで、アービング「ローマ訪問の記念写真です」と言って、今までのスキャンダル写真とネガをアンにこっそりと渡し、アンは「感謝いたします」笑顔で受け取るシーンに、実にグッと来ました。


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最後に、ジョーに「お会いできて光栄です」と握手をするアン。

その時のアンの表情が筆舌に尽くしがたいものを秘めており、このオーラこそがまだ新人だったオードリー・ヘプバーンの名優たる可能性を示しているのではないでしょうか。

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最後に記者たちに笑顔を見せて退場するアン。


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記者が去ってからも言葉もなく立ち尽くし、やがて会見会場を後にするジョー。

背後の宮殿の装飾が、やけに空々しく見えてくるワンシーンです。


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この後、この2人が再開することはおそらくは無かったと思いますが、長く、しかして短い24時間に秘められた甘く切ないドラマを余すところなく表現した「ローマの休日」は、まさに1950年代アメリカ映画の真骨頂といえると思います。