JR相模線、南橋本駅からまっすぐ西側へ2キロほどいったところ、相模原北公園近くのバス停に面した一角にこぢんまりとした神社があります。
この神社は「日之森神社」というのが正式なようですが、一般に広く「日の宮さま」と呼ばれ、特に境内は「お日の森」と呼ばれています。
この神社は、すぐ東にある下九沢の「天王森」八坂神社と関係が深いのでしょう。
八坂神社の天王祭の際には、八坂神社から繰り出した神輿は1.5キロの距離を練り歩き、この神社を「お旅所」(おたびしょ)として1泊し、そして翌日また練り歩きながら帰っていくのだそうです。
八坂神社のご祭神は素戔嗚尊(スサノオノミコト)、ここ日之森神社のご祭神は天照大神(アマテラスオオミカミ)です。
日本神話の天岩戸(あまのいわと)では、乱暴狼藉いたずら放題を極めた素戔嗚尊に対し、最初こそかばっていた天照大神でしたが、とうとう堪忍袋の緒が切れて天岩戸に引きこもり、世界は闇で満たされてしまいます。
八百万の神はあれこれと対応を協議し、天岩戸の前でわざと大宴会を開きました。
天宇受賣命(アマノウズメ)という美しい女神が乳房を丸出しにし、陰部まで出して踊りまくると神様は拍手喝采。その楽しそうな声に、思わず天照大神は顔を出したので天岩戸はこじ開けられ、世界に光が戻ります。
このように、素戔嗚尊と天照大神は関連の深い神様です。
さて、ここの日之森神社の拝殿の奥にある社殿には、今なお菊の御紋が張り付けられています。
これは、戦前まで近くの大沢小学校で、天皇陛下のお写真を安置したてまつる「御真影奉安殿」の建物だった名残だそうです。
戦争が終わってから、各地にあった御真影奉安殿はその役目を終えましたが、このように神社の社殿として今なお使われ続けている例もあるのです。
普段は参拝する人も少なく、ひっそりと忘れ去られたような日之森神社ですが、毎年の7月最終日曜日の御祭礼の日には、多くの人が訪れていまなお大変なにぎわいであるということです。