みうけんのヨコハマ原付紀行

愛車はヤマハのJog・CE50。時速30キロで見たり聞いたり食べ歩いたり。風にまかせてただひたすらに、ふるさと横浜とその近辺を巡ります。

わが家を作ったおばあさんのハナシ

皆さんは心霊現象って信じますか?

 

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一昔前、もう30年もまえでしょうか。

ちょうど日本では心霊ブームで、夏にでもなればいろんなテレビで心霊スポットや心霊写真を紹介し、怪しげな霊能者が解説しているといった番組が多かったです。

宜保愛子という心霊写真専門家が何冊も心霊写真集を出しては話題になっていて、実際にみうけんも友人と一緒に心霊スポット「相模外科病院」「磯野家」(現在はない)などに行き写真を撮ってみたりしたものです。

 

時は流れて10年ほど前、一軒家を購入しました。

みうけんは家庭菜園がやりたかったのと、コンクリートに囲まれた職場だったので、広いお庭と自然と開放感がある環境というのが絶対条件でした。

 

しかし、今ってお庭がある家は少ないんですよね。

新築というと、もともと広かった1軒の邸宅を分割して3軒くらい建てて分譲している家がほとんどでした。

当然のごとく広いお庭なんてなく、窓を開ければ隣家の壁しか見えない、まさにマッチ箱を並べただけのような家。

そんな家がどうしてもイヤで、不動産屋にはアレコレ苦労をかけながら見つけたのが今住んでいる家です。

 

この家は買った時点で築20年。お世辞にもきれいではないし、新しい家ではありません。部屋はいまどき全て和室。畳替えをすべく畳屋さんに電話して、

 

「畳は何畳くらいありますか?」

「んー、40畳くらいッスね!!」

「・・・お寺さんかなにかですか?」

 

なんて会話になってしまうほど。

しかも駐車場が無く(後で売主さんにタダで設置してもらった)、いまどきの若い人は見向きもしないような古臭いおうちでした。

 

でもね、一目で気にいったんですよ。

ベニヤ板をノリで張り付けたような安っぽい建売ばかり見学してきた身です。

いまどき珍しい太い杉の柱、土で塗った壁、いくらでもゴロゴロしたくなる畳の部屋、部屋並みに広い玄関ポーチ、立派で重厚な瓦屋根、2階から見下ろす横浜の港町と夜景と、はるかから聞こえてくる船の汽笛。

そして犬でも鶏でも飼えそうな、池を作って鯉も飼えそうな、もちろん家庭菜園ではなく畑レベルで野菜が作れる庭。

家の裏山では見上げるくらいの大きなケヤキの木がサワサワと風の音を奏で、野鳥たちの休憩場所となっています。

 

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そしてその根元には毎年たくさんのフキノトウが顔を出し、そのいくつかは天ぷらやふきみそとなり、みうけん家の食卓を飾ります。

(写真のはトウがたってますが)

 

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家は古くて窓がガタピシ言うし、障子やフスマがボロボロだったけれど、すぐに日曜大工で直せました。

 

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なんといっても、土地代だけ支払って家屋はタダみたいなもんだったのが本当にありがたかったです。不動産業界では、築20年なんて建物の価値は無いに等しく、そのため固定資産税も土地のぶんくらいしか払っていません。

 

それでも家屋はペンキも塗り替えて、すっかり生き返りまだまだ住めそうです。

庭では季節ごとの野菜がたくさんできて、家族の健康と幸せに一役買っています。

 

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そんな家ですが、購入すべく不動産屋で契約した日の晩、不思議な夢を見ました。

 

その家の10畳間で、知らないおばあさんと座卓をはさんで向かい合わせに座り、ただひたすら無言でお茶を飲む夢でした。

 

その頃は、まだ10畳間には何もなく───。

畳すら積み上げたままでホコリをかぶった状態でした。

 

しかし、夢に出てきた10畳間には立派な飾り額や時計があり、座卓も高そうな一枚板のもの。

さらに、そのおばあさんはどこにでもいそうで、上品そうで、物静かな印象のおばあさんでした。

 

そのおばあさんと、ただひたすらに無言で、正座で向き合ってお茶を飲むのです。

 

そんな夢を何度か見るようになり、どうしても気になったので近所に住む売主さんのところへ行きました。

 

元々、この家はあるおばあさんが建てた家でした。

節約に節約を重ね、たくさんの子供達を立派に育て上げたおばあさん。

そのおばあさんが、老後にやっとの思いで手に入れたのが、この家でした。

 

今までずっと我慢して生きてきた自分のために、東北で大工をしている息子を呼び寄せて材料や費用に糸目をつけずに作り上げた、おばあさんの最後の贅沢。

それがこの家だったのです。

そして、そのおばあさんは大好きな家で大好きな庭で、趣味の家庭菜園を思い切り楽しみました。

その楽しそうなおばあさんの様子は、今でもお隣のおじさんから聞くことがあります。

 

しかし、月日は経ち、体調を崩していったおばあさんは、大好きな家の大好きな部屋で、大好きな庭を眺めながら、大好きな子供達に看取られて大往生をとげたそうです。

 

その後、主を失った家と庭は長らく荒れ果て、家の作りが古く若い人の好みにもなかなか合わず、ずっと売れ残ったままでした。

 

不動産屋も売主さんも売却はあきらめて広告すら取り下げていましたが、なかなか気に入った家がみつからず、絶望に打ちひしがれていたみうけんをダメ元で案内してくれ、みうけんは一気に一目ぼれしたのでした。

 

そしてトントン拍子で契約が進み、喜んだ売主さんは元々なかった駐車場を設置する費用まで負担してくれ、いまのみうけんの充実した生活があるのです。

 

話は戻しますが、夢が気になったみうけんは売主さんの家へ行き、そのおばあさんの遺影を見せていただきました。

すると、遺影に写っているのは、まさに夢に出てきた一緒に無言でお茶を飲んだそのおばあさんだったのです。

 

夢で見た部屋の特徴、家具、飾りなども売主さんが覚えていなかった部分もあるものの、売主さんの記憶とだいたい一致し、さらに部屋をよく見るとそれまで気にしなかった柱のフックの位置、高さなどが、夢の中で額が飾ってあった場所に一致したのです。

 

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売主さんは、契約の時に「あんな古い家、建て替えて綺麗な家にしたほうが」と仰いましたが「自分はあの家が気に入ったのです。壊れた部分だけ直して、大切に住まわせて頂きます」と答えたのをおばあさんが天から聞いていて、この家をよろしく頼むと託してくださったんだと思います。

 

その後は離婚も経験しましたが、めでたく再婚し子宝にも恵まれ幸せに暮らしています。一時期伊勢原あたりに引っ越す計画もありましたが、今の横浜市が療育が必要な我が子育ての環境に向いていることもわかり、そのまま住み続けています。

そして、そのおばあさんは今では夢に出る事はなくなりましたが、ずっとずっとみうけんの心にしっかりと生き続けています。

 

あれから10年たった今でも、愛する我が家はしっかりと家族を守ってくれています。家を買う時も売る相談をした時も建築士の方が見に来て、「今時こんな家は珍しい。大切にすれば軽く100年は住めますよ」と言ってくれた立派なおうちです。

そしておばあさんが家を建てた記念に植えた夏みかんの木は毎年たくさんの実をつけてくれています。

 

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とても古くて、夏にはヤブ蚊に悩まされることもあるけれど、みうけん家には今日も部屋のどこかでおばあさんが微笑みながら座って見守ってくれているんだと思います。