강풀(カン・プル)という、韓国ではちょっと有名なインターネットマンガ家。
パソコンで漫画を描き、インターネットで公開し広告収入などを得ている人ですが、この人の作品は評価が高く書籍化や映画化もされています。
その中でもみうけんが好きなのが、この「あなたのすべての瞬間」(原題;당신의 모든 순간)という本。残念ながらすべて韓国語なのですが、興味ある方は読んでみてください。
今のところここで読むことができます。
お話は、まず公園でのシーンから。さえないぽっちゃり能天気な男の子と、何事も深刻に考え自分に自信が持てない女の子という、ちぐはぐカップルのデートというか、ケンカというかの場面から始まります。
ここで二人は・・・というか、男の子が一方的に愛を語ったりしているのですが、場面は変わって一年後。
なんと、世界がゾンビに占拠されてしまうのです!!
と、まぁだいぶ・・・はしょって書いてますが、のちになんでこうなってしまったかの説明も漫画の中ではされていますのでご安心を。
生きている人間の血を求めてさまようゾンビたち。
しかし彼らは階段などを登る動作が出来ないので、わずかに生き残った人間は高い建物に避難してなんとか生きながらえている状況。
そこに軍隊がやってきて、ゾンビを蹴散らしながらとりあえずの配給食糧を配ります。
その時に主人公のさえない男性が目にした、向かいの部屋に住む女性。
この女性が、冒頭で出てきた自信のない女性なのですが、ここからだんだん恋のハナシに発展していきます。
あんまり画像を載せるのも大変なので、またはしょりますが、この女性の両親がだんだんとゾンビに変わって行ってしまい、最後に「うちの娘をどうか、よろしく頼む・・・」と朦朧としながら懇願する場面は涙なくして読む事はできません。
また、母親だけがゾンビになってしまい、その後をけなげに追いかける幼女。
その幼女までだんだんゾンビになっていってしまい、最後に人間の理性を失っていくことに涙しながら言葉が通じなくなっていき、通常の食べ物も受け付けなくなってしまう。それでも懸命に面倒をみようとする二人の姿に、ものすごく泣かされました。
そして、徘徊するゾンビの合間をかいくぐっては愛を重ねて行く二人。
しかし、そんな二人が最も恐れていた瞬間がやってきます。
彼女がゾンビになり、徐々に理性を失っていくのです。
意識も記憶も失っていく彼女に、せめて化粧でも施してから、かつての本当の彼氏に合わせてやろうという主人公。そして、ゾンビとなった彼と彼女を引き合わせた後は、彼は去っていきます。
最後の、↑「何がどうなろうと、俺は最後まであなたを守りたい」という言葉で〆ていますが、この言葉がどうにも切なく。涙なしには見られない作品でした。
結局、この二人はハッピーエンドで終わる事はないのですが、このストーリーは何度読んでも衝撃的で、単行本化はされているのでいつか韓国に再訪する機会があれば何としても手に入れたいなと思っている本でもあります。
ちなみに、このマンガに出てくる連立住宅(韓国で低~中所得者向けに格安で貸し出されているアパート)は現存しており、ここもいつか行ってみたいなと思っています。